身行念経

身行念経についての概要

『身行念経』（しんぎょうねんきょう、巴: Kāyagatāsati-sutta）は、パーリ仏典経蔵の中部に収録されている第119経典です。これは、特に仏教における「身体への意識」（身念）についての教えに焦点を当てており、近似する漢訳経典としては『中阿含経』の第81経「念身経」があります。

背景

この教えは、釈迦が比丘たちに向けて説いたもので、特定の場面としてサーヴァッティー（舎衛城）のアナータピンディカ園（祇園精舎）での教示が描かれています。釈迦はこの教えを通じて、身体の感覚や存在を意識することが心の平穏へとつながると主張しています。

教えの内容

釈迦は、身体への意識（入出息念、アーナーパーナ・サティ）、四念処、そして不浄観について具体的に説明します。入出息念は、呼吸に意識を向けることにより、心を現在の瞬間に留め、過去や未来の思念から解放される手助けをします。このような実践を通じて、比丘たちは心のしがらみから解放されるのです。

特に、四念処とは、「身体」「感受」「心」「法」の四つの領域での念の状態を示し、比丘たちがそれぞれの領域を観察することで深い理解を得ることを促します。また、不浄観は、肉体についての認識を変えることによって、執着や欲望を淡白にさせ、心の解放を目指します。

身体を念じることの利益

この教えの中で、釈迦は身体への意識を持つことによる十の利益についても触れています。これには、嫌悪や恐怖、不快感の克服、心の集中、また四禅や六神通といった能力の獲得が含まれています。比丘たちはこの教えを受けて歓喜し、さらなる修行に励むことを誓います。

現代への影響

現代においても、身行念経の教えは多くの修行者や瞑想者にとって指針となっています。特に、ヴィパッサナー瞑想においては、身体への意識を通じて心の静穏を求めることが推奨されており、身行念の重要性が改めて認識されています。この経典を学ぶことで、心の平穏を得るための具体的な方法が提供されるのです。

このように、『身行念経』は、身体意識を中心とする深い教えを通じて、心の解放を目指す重要な仏教の文献であり、仏教徒だけでなく、広範な人々にも影響を与え続けています。

参考文献

この経典は以下の資料から日本語訳されており、専門的な研究や個人の修行にも役立っています。

• - 『南伝大蔵経・経蔵・中部経典4』(第11巻下) 大蔵出版
• - 『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）後分五十経篇I』 片山一良訳 大蔵出版
• - 『原始仏典 中部経典4』(第7巻) 中村元監修 春秋社

このように、『身行念経』は、身体と思考の関係を探求し、心の安定を得るための実践的な知恵を提供している重要な文献です。

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