辻堂 (藤沢市)

概要

辻堂は、神奈川県藤沢市の南西部に位置する町名です。現在の行政町名は辻堂一丁目から辻堂六丁目までが設定されており、これらの区域は住居表示が実施されています。より広範囲を指す「辻堂地区」に含まれる一角として知られています。

地理

この地域は藤沢市の南西端に位置しています。町域の北側には、JR東海道本線の辻堂駅があります。周辺との境界は、北は辻堂神台、東は辻堂元町、南は辻堂西海岸、西は茅ヶ崎市浜竹と接しています。町域は、北から順に一丁目、二丁目と続き、南に向かって六丁目に至る配置となっています。

地名の由来

辻堂という地名の起源については、いくつかの説があります。一説には、1191年頃に源頼朝が創建したとされる宝泉寺の周辺が村の始まりの地であり、その中心地が「四つ角」と呼ばれていたことに由来すると考えられています。この「四つ角」から東方向にある「辻」という場所に、不動堂（宝珠寺）があったことから、「辻堂」という地名が生まれたといわれています。

歴史

辻堂の歴史は古く、平安時代には伊勢神宮の荘園であった大庭御厨の一部でした。平安時代中期、おおよそ10世紀頃には、相模国高座郡に属する土甘（とかみ、または、となみ）郷の一部を構成していました。その後、1104年頃に鎌倉景正によって大庭御厨が開拓されると、その区域に含まれるようになります。鎌倉時代には、辻堂を含む茅ヶ崎方面の広範囲が当初「八的ヶ原」、後に「八松ヶ原」と呼ばれる地名で知られていました。

近現代における行政区画は変遷をたどります。1873年（明治6年）には神奈川県の区番組制の下で第17大区となり、この時に小字や地番が定められました。1878年（明治11年）には郡区町村編制法により、行政区域としての高座郡辻堂村が編成され、その一部となります。1889年（明治22年）の町村制施行では、辻堂村は周辺の大庭村、羽鳥村、稲荷村と合併し、高座郡明治村の一部となりました。さらに1908年（明治41年）には、明治村が藤沢大坂町および鵠沼村と合併し、藤沢町が誕生します。

地域の近代化は、1916年（大正5年）の辻堂駅開業によって大きく加速しました。交通網の整備も進み、1935年（昭和10年）には、現在の神奈川県道30号戸塚茅ヶ崎線の一部となる湘南海岸道路が開通しています。行政面では、1940年（昭和15年）に藤沢町が市制を施行し、藤沢市の一部となります。第二次世界大戦後には、1945年（昭和20年）に横浜興信銀行（現在の横浜銀行）の辻堂支店が駅南口に開設され、同年には駅で爆発事故が発生するという出来事もありました。地域の安全体制としては、1951年（昭和26年）に藤沢市消防本部の辻堂出張所が設置されました。平成に入ると、1993年（平成5年）に辻堂市民図書館が開館し、文化施設が整備されました。1994年（平成6年）には駅東側にあった羽鳥踏切が立体交差化され、湘南辻堂地下道として交通の流れがスムーズになりました。そして、1999年（平成11年）には、現在の行政町名である辻堂一丁目から六丁目が正式に新設され、現在に至っています。

産業

過去には、辻堂地域では農業や農蚕業が盛んに行われていました。明治時代の記録によれば、『神奈川文庫 第五集 百家明鑑』には、農業を営んでいた人物として相澤氏や吉田氏などが、また農蚕業を営んでいた人物として相澤氏、門倉氏、櫻井氏、廣野氏などの名前が挙げられています。

交通

鉄道としては、東日本旅客鉄道（JR東日本）の東海道本線が通り、地域の中核駅として辻堂駅が利用可能です。道路網では、神奈川県道30号戸塚茅ヶ崎線や神奈川県道308号辻堂停車場辻堂線が町域を通り、主要幹線である国道1号線も近隣を走っています。また、路線バスも運行されており、周辺地域とのアクセス手段となっています。

主な施設

町内には、公共施設として藤沢市立辻堂青少年会館や藤沢市立辻堂市民図書館があります。また、地域の消防・救急活動拠点として藤沢市南消防署辻堂出張所が設置されています。

ゆかりのある人物

辻堂には、過去にゆかりのある著名人も複数います。タレントの中居正広氏（元SMAPのリーダー）、編集者や小説家、評論家として活動した中村武羅夫氏、満州銅鉛鉱業の取締役を務めた三觜進氏（羽鳥の三觜家15代当主）などが挙げられます。

地価

住宅地の地価について、2023年（令和5年）1月1日時点の公示地価では、辻堂3丁目14-28の地点で1平方メートルあたり29万円となっています。

その他

日本郵便の郵便番号は251-0047が割り当てられており、集配業務は藤沢郵便局が担当しています。

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