辻清明 (政治学者)

辻清明（つじ きよあき）

プロフィール

辻清明は、1913年4月5日に京都で生まれ、1991年7月30日に逝去した日本の政治学者、行政学者です。東京大学名誉教授の称号を持ち、日本の官僚制研究における権威として知られています。

学歴と職歴

旧制第三高等学校を経て、1937年に東京帝国大学法学部政治学科を卒業しました。卒業後、同大学法学部の助手となり、研究者の道を歩み始めました。1938年には臨時召集により軍隊に入隊しましたが、1940年に除隊し、再び研究活動に戻りました。1942年には東京大学法学部の助教授に就任し、1951年には教授へと昇進しました。1967年から1968年までは法学部長を務め、教育・研究の両面で大学に貢献しました。1974年に東京大学を定年退官し、名誉教授の称号を授与されました。その後、国際基督教大学の教授に就任し、後進の育成に尽力しました。

受賞歴

長年の学術研究における功績が認められ、1979年に文化功労者として顕彰されました。1985年には日本学士院会員に選出され、1987年には品川区名誉区民に選ばれています。1989年には勲二等旭日重光章を受章しています。

研究内容と業績

辻清明は、行政学、特に日本の官僚制の研究において多大な業績を上げました。師である蠟山政道の影響を受け、日本の官僚制の構造や機能について深く掘り下げた研究を行い、官僚優位論を提唱しました。その研究は、当時の日本の行政学界に大きな影響を与えました。また、行政学における辻の学派は、一番弟子の西尾勝に引き継がれ、発展しました。門下生には、伊藤大一、武藤博己、西尾隆などがいます。行政学の分野において、数々の著作や論文を発表し、日本の行政学の発展に大きく貢献しました。

著書

辻清明は、多数の著書を執筆しており、以下に代表的なものを紹介します。

『日本官僚制の研究』（弘文堂, 1952年/東京大学出版会, 1969年)
『行政学講義（上）』（東京大学出版会, 1960年/改訂版, 1963年）
『政治を考える指標』（岩波書店［岩波新書］, 1960年）
『行政学概論』（東京大学出版会, 1966年）
『陣笠の効用』（日本評論社, 1972年）
『日本の地方自治』（岩波書店［岩波新書］, 1976年）
『政治の精神』（朝日新聞社［朝日選書］, 1979年）
『公務員制の研究』（東京大学出版会, 1991年）

これらの著書は、彼の研究成果を示すだけでなく、行政学を学ぶ学生や研究者にとって重要な参考文献となっています。

編著・共編著

辻清明は、編著や共編著も多数手がけており、その分野における幅広い知識と貢献を示しています。

『岩波小辞典政治』（岩波書店）
『公務員制度』（勁草書房）
『世界の名著（60）バジョット ラスキ マッキーヴァー』（中央公論社）
『Public Administration in Japan』（University of Tokyo Press）
（中村哲・丸山真男）『政治学事典』（平凡社）
（林茂）『日本内閣史録（全6巻）』（第一法規出版）
（高辻正己）『現代行政全集（1-27）』（ぎょうせい）

訳書

海外の行政学に関する重要な文献の翻訳も行っており、国際的な視点からも日本の行政学の発展に貢献しました。

ウイリアム・A・ロブソン編『世界の大都市――その行政と政治と計画』小倉庫次,吉富重夫共訳
H・J・ラスキ『議会・内閣・公務員制』渡辺保男共訳
W・A・ロブソン『福祉国家と福祉社会――幻想と現実』星野信也共訳

評伝

辻清明の業績や人となりをまとめた評伝として、以下の書籍があります。

* 『回想の辻清明』辻清明追想集刊行会 編、1993年

まとめ

辻清明は、日本の行政学界において多大な足跡を残した学者であり、その研究は今日でも重要な意味を持っています。彼の功績は、日本の行政制度の理解と発展に不可欠なものとして、今後も引き継がれていくでしょう。

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