近藤正慎

近藤 正慎の生涯と業績

近藤正慎（こんどうしょうしん、1816年3月28日生 - 1858年11月28日没）は、江戸時代末期に活躍した尊王攘夷運動の重要な指導者であり、清水寺の寺侍として知られています。彼の本姓は栗山で、名は義重、通称は仲、幼名は金弥、字は向月であり、彼の生まれ故郷は現在の亀岡市篠町に所在する丹波国桑田郡亀山藩山本村中条です。彼は栗山瀬平の三男として世に出ました。

正慎は文政10年（1827年）に京都の清水寺成就院で出家し、文政12年（1829年）から天保12年（1841年）まで成就院末の金蔵院の住職を務めました。その後、本山派修験道に入門し義光院兵部と改名、全国各地を巡歴することになります。天保14年（1843年）には還俗し、丹波亀山の近藤市左衛門の養子となった後、再び成就院で寺侍としての役割を担うこととなりました。

彼の人生において非常に重要な局面は、彼が兄弟僧の月照を支援し、尊攘（天皇を尊び、外敵を排除する思想）運動に従事した点です。この活動は彼にとって決して容易なものではなく、思いがけないリスクを伴うものでありました。

安政5年（1858年）10月3日、近藤正慎は安政の大獄に連座し、捕縛されてしまいました。彼はこのとき、六角獄舎に収監され、月照がどこにいるかについて拷問を受けましたが、彼は一切白状することはありませんでした。数週間にわたり断食を続け、肉体的な苦痛に耐えつつ、自らの意志を貫きました。最終的に、彼は舌を噛み切り、壁に頭を打ちつけることで自ら命を絶ちました。享年43歳という短い生涯でしたが、彼の信念は強く、後の日本における尊王攘夷の精神に影響を与えました。

近藤正慎の死後、彼は1903年（明治36年）に従五位に叙せられることとなりました。また、彼の子孫には、陶磁器の人間国宝である近藤悠三や俳優の近藤正臣が存在し、家族は代々にわたり清水寺境内で「舌切茶屋」という休憩所を営んでいます。これは彼が生涯を通じて培った信念や生きざまを今に伝える象徴的な存在と言えるでしょう。

近藤正慎の生涯は、日本の幕末の激動の時代における人々の思いを象徴しており、歴史に名を刻む一人となっています。

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