近鉄2250系電車

近鉄2250系電車：大阪線特急の Pioneer

近鉄2250系電車は、1953年から近畿日本鉄道（近鉄）が大阪線の特急専用車両として製造した車両です。ここでは、後に600系電車（2代目）へと改番された車両についても解説します。

誕生の背景

当時の近鉄の路線網は、南大阪線を除き1435mmの標準軌でしたが、名古屋線は1067mmの狭軌であり、大阪線との直通運転はできませんでした。そのため、両線ではそれぞれ専用の車両が使用され、乗り換えが必要でした。

1947年に名阪特急が運行を開始しましたが、使用された車両は戦前からの改造車であり、復興が進むにつれて、専用設計の新型車両が求められるようになりました。そして1953年の伊勢神宮の式年遷宮に合わせ、大阪線・山田線と名古屋線に新型特急車両が投入されることになりました。

これらの車両は、2200系を基本とした2扉クロスシート車で、外観や設備は統一されていましたが、軌道条件などから車体寸法や主要機器は異なっていました。大阪線・山田線向けが2250系、名古屋線向けが6421系として登場しました。

車種構成

2250系は、以下の2形式で構成されています。

モ2250形: 制御電動車
サ3020形: 付随車

これらの車両は、近畿車輛で製造されました。製造時期によって仕様が異なり、特にモ2250形は、初期の車両が両運転台、後期の車両が片運転台となっています。また、3次車では、2200系の貴賓車を改造した車両を組み込むことで、サ3020形の製造数を調整しました。

車両の構造とデザイン

車体は全長20,720mm、車体幅2,744mmの20m級で、軽量構造が採用されました。プレス成形材を多用し、台枠の中梁を省略するなど、当時の最新技術が投入されています。これにより、車両の軽量化が図られ、走行性能の向上に貢献しました。

外観は、2200系を基本としつつ、最新の流行を取り入れたものでした。側面窓は座席と一致するように配置され、屋根は雨樋を高くした張り上げ屋根、前照灯は半埋め込み式とされました。塗装はクリームと紺色のツートンカラーで、側面にはExpressマークが描かれていました。

インテリア

車内は、転換クロスシートが採用され、シートピッチは930mmと広く、快適性が向上しています。室内灯には蛍光灯が導入され、車内照度が大幅に向上しました。また、内装部材にアルミニウム板やアルミ鋳物が使用されるなど、先進的な試みが見られました。トイレはサ3020形に設置されましたが、設置位置は製造時期によって異なりました。

主要機器

主要機器は、2200系から引き継がれた三菱電機製のものが使用されました。主電動機はMB-211-BFG、制御器はABF17が採用され、山岳区間での高速運転を可能にしました。ブレーキは、台車装架シリンダー式に変更され、安全性が向上しました。

台車は、住友金属工業FS-11、近畿車輛KD-5、KD-15系が使用され、それぞれに最新技術が投入されました。連結器は、初期の車両が並形自動連結器、後期の車両が密着自動連結器を採用しました。

運用とその後

2250系は、当初から大阪線・山田線の特急運用に投入され、名阪連絡特急や伊勢特急として活躍しました。しかし、後継車両の登場により、1960年代には一般車への格下げが進められました。格下げ後は、3扉化や座席の変更が行われ、大阪線・山田線の急行運用に使用されました。その後、名古屋線へ転属し、1983年までに全車廃車となりました。

一部の車両は、鮮魚列車や電動貨車に改造され、最後まで活躍しました。特に、東大阪線（現・けいはんな線）用の7000系を牽引する電動貨車は、1998年まで使用され、その役割を終えました。

2250系は、その革新的な技術と快適な車内空間で、大阪線特急の Pioneer として、鉄道史に名を刻んでいます。

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