透輝石

透輝石（とうきせき）について

透輝石（とうきせき）とは、化学的にカルシウムとマグネシウムから成る鉱物で、輝石の一種です。英語では「diopside」と呼ばれ、化学式は CaMgSi₂O₆ となります。基本的な構成要素を持ちながら、他の元素による置換が可能なため、様々なバリエーションが存在します。

組成と変種

透輝石はその化学組成に基づき、他の鉱物と関係があります。特に、マグネシウム（Mg）が鉄（Fe²⁺）に置き換わったものを「灰鉄輝石」と呼び、これらは互いに連続的に固溶する性質があります。この関係性により、透輝石と灰鉄輝石の中間的な存在、かつてはサーラ輝石（salite）や鉄サーラ輝石（ferrosalite）と呼ばれていたものもありますが、現在ではこの名称は使用されていないため、注意が必要です。

また、マグネシウムがマンガン（Mn）に置換されたものは「ヨハンセン輝石」と呼ばれ、カルシウムが少ない場合には「普通輝石」という名称が使われます。興味深いことに、透輝石は時としてクロムを含むことで美しい緑色を示すことがあります。

発生場所と特徴

透輝石は、特に火成岩や変成岩の中で良く見られる造岩鉱物の一つです。さらに、スカルン鉱床などの特殊な環境でも産出されることがあります。これらの環境で見られる透輝石は、しばしば独特の外見を持ち、一般的に裂開（割れ目）が発達して金属光沢や真珠光沢を示します。ただし、そのような特性を持つものは「異剥輝石」（いはくきせき）と称されることがありますが、それは正式な鉱物名ではありません。

鉱物学的意義

透輝石は、鉱物を理解し、多様な化学的組成とその変化を探求する上で重要な存在です。特に、鉱物学者や地質学者にとって、透輝石の組成や形成過程を研究することで、地球の内部のプロセスや岩石形成のメカニズムを解明する手助けとなります。

関連項目

透輝石に関連する鉱物の中には、ケイ酸塩鉱物や輝石の一種として分類されるものがあります。また、鉱物全般の理解を深めるためには、様々な参考文献を利用することも推奨されます。

参考文献と外部リンク

透輝石に関する詳細な情報を知りたい場合、以下の参考文献や外部リンクを参照することができます。これらの資料では、鉱物の名称や分類、さらには特性についての実証的なデータが掲載されています。

• - N. Morimoto et al., "Nomenclature of pyroxenes," Mineralogical Journal, Vol. 14, No. 5, pp. 198-221, 1989.
• - 森本信男　『造岩鉱物学』　東京大学出版会、1989年、ISBN 4-13-062123-8。
• - 豊遙秋・青木正博　『検索入門 鉱物・岩石』　保育社、1996年、ISBN 4-586-31040-5。
• - 松原聰　『フィールドベスト図鑑15 日本の鉱物』　学習研究社、2003年、ISBN 4-05-402013-5。
• - 国立天文台編　『理科年表 平成19年』　丸善、2006年、ISBN 4-621-07763-5。

外部リンク

• - Mindat - Diopside
• - Webmineral - Diopside Mineral Data

透輝石を中心に、鉱物学の世界を探ることで、地球に存在する様々な鉱物やその魅力に触れることができるでしょう。

もう一度検索