造兵司

造兵司（ぞうへいし）について

造兵司は、古代日本における律令制度の下で設立された官庁であり、兵器の製造を主な業務としていました。この機関は、兵部省に属し、和訓では「つわものつくりのつかさ」とも称されました。造兵司の職務は、兵器の実際の製造にとどまらず、製造に必要な技術集団の管理と指導も重要な役割を果たしていました。

兵器製造のための技術集団

造兵司の職掌には、複数の専門技術集団が存在しました。具体的には、鍛戸（かぬちへ）、甲作（よろいつくり）、靫作（ゆぎづくり）、弓削（ゆげ）、矢作（やはぎ）、鞆張（ともはり）、羽結（はゆい）、桙刊（ほこけずり）などがあり、これらは「雑戸」と呼ばれました。また、品部に所属する爪工（はたくみ）、楯縫（たてぬい）、幄作（あげはつくり）などもあり、それぞれの役割に応じた兵器の製造が行われました。これらの技術集団は、特定の期間に応じて作業を行い、一部は緊急時に追加で動員されました。

歴史的には、造兵司は天平14年（744年）に一時的に廃止されたものの、天平宝字2年（758年）には再び設置されました。しかし、最終的には寛平8年（896年）に新しく設立された兵庫寮に統合され、その存在は消えていきました。

明治時代の造兵司

明治時代に入ると、1869年に行われた官制改革に伴い、軍事と防衛を担当する機関として兵部省が設立され、その中に造兵司が創設されました。1870年には正式に兵器の製造及び研究を行う機関として機能を開始します。その後、1872年には兵部省が廃止され、陸軍省と海軍省が設置されるとそれぞれの省の下に造兵司が再び位置づけられました。

陸軍省においては、1875年に造兵司が廃止され、これに伴い砲兵本廠や砲兵支廠が設置されたのち、1879年には東京砲兵工廠と大阪砲兵工廠が設立されました。海軍省でも同年に整理が進み、造兵司は廃止され代わりに兵器局が設立されました。

制度と人員構成

具体的な造兵司の人員構成は、正（正六位上相当）1名、佑（従七位下相当）1名、また大令史や少令史などの役職が配置されていました。雑工部は20名、使部は12名と構成され、全体で一定の規模を持った官庁として運営されていました。また雑戸の担当戸数もさまざまな技術集団によって異なり、鍛戸が217戸、甲作が62戸などの割合で存在していました。

結論

造兵司は古代から明治時代にかけて、軍事と兵器製造の中心的な役割を担った重要な官庁でした。その歴史は、日本の軍事制度における発展と共にあり、兵器の製造技術の確立に寄与しました。

もう一度検索