造海城

造海城の歴史と構造

造海城（つくろうみじょう）は、千葉県富津市竹岡地区に位置していた日本の山城です。この城は、真里谷氏によって1450年代に築かれたとされることが通説ですが、研究者の黒田基樹は別の説を提唱しています。彼は、足利成氏から真里谷一族の祖である上総武田氏初代武田信長に与えられた「上総国造細郷」が『造海郷』の誤りであるとし、造海城が武田信長の最初の本拠地である可能性を指摘しています。これにより、真里谷城や庁南城への進出は次世代以降の出来事であると考えられています。また、彼は造海地域に別系統の上総武田氏の嫡流が存在した可能性についても言及しています。

造海城は、天文6年（1537年）から里見氏の支配下に入り、その後、里見氏と北条氏の対立において重要な役割を果たしました。戦国時代中に、造海城は多くの戦の舞台となり、周囲の地域に強い影響を与えることとなります。

歴史的背景

造海城の築城は、寛正2年（1461年）に真里谷信興（または武田信長）によって行われました。1534年には、真里谷信隆とその弟信応の家督争いが発生し、信隆の子信政が造海城を拠点に据えました。しかし、1537年には信応が里見義堯と結託し、城を攻撃。そして、造海城は開城を余儀なくされ、里見氏方の正木氏が新たに城を支配することになりました。

最終的には、天正18年（1590年）の小田原征伐後に里見氏が減封されると、造海城は廃城となりました。江戸時代末期には、城内の北端と南西端に二つの台場が設けられ、当時の防衛システムに重要な役割を果たしました。

城の構造

造海城は、浦賀水道に面した南北に延びる丘陵の上に築かれ、自然の地形を活かした要害です。西側には浦賀水道があり、北側には白狐川が流れており、天然の防御が形成されています。城内は尾根に沿った四つの郭が配置されており、特に西側に延びる支尾根上には郭が重なる形で配置されています。

東側は起伏が少ない地形ですが、三柱神社近くの尾根や外部へと繋がる尾根筋に手が加えられています。これらの構造物は、灯篭坂大師から延びる大手道や、延命寺・三柱神社エリアに存在した居館を守るために設計されたと考えられています。特に、大手尾根の根元には「木出根」と呼ばれる場所があり、腰郭が設けられています。

遺構と考古資料

今日では、造海城の山上部分には多くの遺構が残っています。空堀、石垣、土塁、さらに井戸などが確認できるものの、幕末期に設けられた台場なども存在し、様々な時代の遺構が交錯しているのが特徴です。これらの遺構は、造海城が持つ歴史的な価値を今に伝える貴重な資産となっています。

造海城の歴史は、歴史的な背景と地域社会の変遷を知るための重要な手がかりを提供しており、今後の研究が期待されます。

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