真里谷信隆

真里谷信隆の生涯

真里谷信隆は、上総国の戦国時代に活躍した名将であり、上総武田氏の一員です。彼は真里谷恕鑑（信清）の庶長子として誕生し、居城である峰上城を中心に数多くの城を支配していました。通称は八郎太郎や祥山全吉で、兄弟には信全鑑や弟の信応がいます。彼の子には真里谷信政が名を連ねています。

若き日の苦悩と対立

信隆が新たな戦国大名として名乗りを上げるきっかけとなったのは、安房里見氏の内紛、いわゆる「稲村の変」です。この紛争の中で、信隆の父である恕鑑は間違っても自らの立場を危うくする支持を行い、里見義豊を選んだのに対し、一族の一部は敵対者である里見義堯を支持しました。信隆は自らの居城で義堯を匿ったとも言われており、彼自身の信念と家族の絆の狭間で揺れ動くことになりました。

義堯が内紛に勝利した後、恕鑑は1534年に亡くなり、真里谷家の家督は信隆が受け継ぐことになりました。この時期、真里谷武田家は北条氏綱への従属を強化していき、信隆はその当主として目立つ位置にいましたが、兄弟との権力争いが始まります。

権力権争いと抗争

特に1537年からは、弟の信応との争いが激化し、上総国内は混乱の渦に巻き込まれました。この抗争は「上総錯乱」と呼ばれ、信隆は峰上城を本拠に造海城や天神台城を含む広大な地域を掌握していました。信隆はまた、小弓公方足利義明の支持を受けていた信応に対抗すべく、里見氏や後北条氏に援軍を求めましたが、最終的には敗北し、峰上城を開城しなければなりませんでした。

その後、信隆は造海城に籠城し、和歌を百首詠むという条件の下で開城したという逸話があり、厳しい戦国時代の中での彼の負けん気が伺えます。

隠居と復権

信隆は武蔵国金沢に逃れ、その後は隠居生活を送りましたが、1538年の第一次国府台合戦で義明が戦死すると、信隆は信応の疲弊した勢力を利用し、上総に戻ることができました。そして椎津城を拠点に復権を図りましたが、再び内紛が彼を待ち構えていました。

1541年頃からは、家族間での内紛が再燃し、特に「笹子城」や「中尾城」での闘争が記録されています。信隆は家臣の讒言に誘惑され、対立する武将を手にかけ、その結果病に倒れたともされています。この内紛は外部勢力である後北条氏や里見氏の介入を招き、特に里見氏の家臣正木時茂の進出により、真里谷家は次第に勢力を失っていきました。

最期の日々

信隆と信応は相次いで1551年から1552年にかけて命を落とし、真里谷武田家は歴史の表舞台から姿を消すことになりました。彼の生涯は戦国時代の波乱に満ちたものであり、当時の内乱や権力闘争がどれほど人々に影響を与えたかを物語っています。真里谷信隆の物語は、当時の不安定な時代を反映したものに他なりません。

もう一度検索