遊歩道 (来生たかおのアルバム)

来生たかおの『遊歩道』は、1982年にリリースされた彼の8枚目のオリジナルアルバムです。このアルバムは、LP、CT、CDの3つの形態で発売され、それぞれ規格品番が異なります。

ジャケット写真は、来生たかお自身が選んだ小金井公園で撮影されました。緑豊かな風景の中に、コートとハンチング帽を掛けたポールハンガーを傍らに配したアップライトピアノにもたれかかる来生の姿が印象的です。また、アルバムに収録されたシングル「疑惑」のジャケットには、同じアップライトピアノの上で胡坐を掻いた写真が使用されています。

『遊歩道』の大きな特徴は、坂本龍一が編曲と演奏で参加している点です。来生たかおは以前から坂本龍一の才能に注目しており、そのセンスを高く評価していました。この共演がきっかけとなり、来生たかおが美空ひばりに提供した「笑ってよムーンライト」「まなざしの彼方」「あなたでなければ」の編曲も坂本龍一が担当することになりました。ちなみに、編曲者の“矢倉銀”は、来生たかおのペンネームです。

CD版は、1983年3月16日にリリースされ、来生たかおのオリジナルアルバムとしては初のCD化となりました。

復刻盤

1991年4月25日：CD（規格品番：KTCR-1051）
1995年7月21日：歌手デビュー20周年を記念し、CD選書Q盤として高城賢によるデジタルリマスター化（規格品番：KTCR-1563）
2007年3月21日：オリジナルアルバム、企画アルバムを集めた21枚組CD-BOX『来生たかお大全集』（ユニバーサルミュージック／規格品番：UPCY-6355/75）に1995年版を収録（規格品番：UPCY-6362）

収録曲

SIDE 1

1. High Noon（7：42）
作詞：来生えつこ ／ 作曲：来生たかお ／ 編曲：坂本龍一・矢倉銀
メロディーが次々と展開していく長尺曲。来生えつこによれば、歌詞に登場するリュックサックを背負った男は、アウトドア関連の仕事をしている友人をイメージしたとのことです。
2. 蜜月（4：22）
作詞：来生えつこ ／ 作曲：来生たかお ／ 編曲：坂本龍一
3. 渚のほのめき（4：08）
作詞：来生えつこ ／ 作曲：来生たかお ／ 編曲：坂本龍一
15枚目のシングル「吐息の日々」のB面にも収録されています。
4. Midnight Step （4：09）
作詞：来生えつこ ／ 作曲：来生たかお ／ 編曲：坂本龍一
来生えつこが憧れた映画『ウエスト・サイド物語』のようなアメリカ的風景を、真夜中のガソリンスタンドに重ね合わせています。ガソリンスタンドを“オイルスタンド”と表記しているのは、語呂が良いからだそうです。

SIDE 2

1. 疑惑（4：23）
作詞：来生えつこ ／ 作曲：来生たかお ／ 編曲：星勝
13枚目のシングル。桃井かおりがアルバム『SHOW?』でカバーしています。ちなみに、同アルバムの収録曲は全て来生たかおが作曲。
2. 坂道の天使（3：52）
作詞：来生えつこ ／ 作曲：来生たかお ／ 編曲：坂本龍一
主人公の“薄墨色のコート”は『刑事コロンボ』がヒントになっており、来生自身もコロンボ風のコートを着ていたことがあったそうです。来生たかおは、この曲をギルバート・オサリバンに歌って欲しいと語ったことがあります。
3. 蟠り（4：00）
作詞：来生えつこ ／ 作曲：来生たかお ／ 編曲：星勝
タイトルの“蟠”に“わだかま”とルビが振られています。作詞過程において「まぶたでさよなら」というタイトルも検討されていました。
4. テレフォン・ララバイ（4：12）
作詞：来生えつこ ／ 作曲：来生たかお ／ 編曲：矢倉銀
5. スローナイト（4：35）
作詞：来生えつこ ／ 作曲：来生たかお ／ 編曲：星勝
元々井上陽水をイメージして作られた楽曲で、来生たかお自身も歌ってもらいたいと述べています。1983年にはフランク永井がアルバム『マホガニーのカウンター』でカバーしています。

『遊歩道』は、来生たかおの音楽性と坂本龍一のアレンジが融合した、ファンタジーポップの世界が広がるアルバムです。

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