運命の歌 (ブラームス)

ブラームス「運命の歌」作品54

ヨハネス・ブラームスが作曲した「運命の歌」作品54は、フリードリヒ・ヘルダーリンの詩『ヒュペーリオン』を基にした、混声合唱と管弦楽のための楽曲です。1868年から1871年にかけて作曲され、1871年10月13日にヘルマン・レーヴィの指揮でカールスルーエにて初演されました。演奏時間は約20分です。

ヴォルフガング・フォルトナーも同じヘルダーリンの詩に曲をつけており、「ヒュペーリオンの運命の歌」として知られています。

楽曲構成

この楽曲は、明瞭な二部形式で構成されています。

第1部：Langsam und sehnsuchtsvoll（ゆっくりと、憧憬をもって）

変ホ長調、4/4拍子。
管弦楽による長大な序奏で始まり、天上の情景が描かれます。
15小節付近で一度盛り上がりを見せた後、音楽は静まり、17小節目で終止します。
29小節目からは合唱が始まり、最初はアルトのみで歌われます。その後、全合唱が加わり、転調を伴いながら発展します。
102、103小節目で第1部は終わり、次の第2部へとなだれ込みます。

第2部：Allegro（快活に、速く）

ハ短調、3/4拍子。
さらに三部形式で構成されています。

第1群

104～221小節。
激しい弦楽器のトレモロで開始し、第1部の静けさとは対照的な激しい曲調です。
合唱がユニゾンで力強く歌い、減七の和音を効果的に用いて展開します。
次第にダイナミクスは抑えられ、ピアニッシモになったところで第2群へ移行します。

第2群

194～273小節。
第1群でユニゾンで歌われた主題が、対位法的に展開し、フーガを形成します。
音楽は緊張感を増し、第2部冒頭の激しい主題へと再び戻ります。

第3群

274～379小節。
第2部冒頭の激しい弦のトレモロが再現されます。
主題が展開し、頂点に達した後、ピアノへと静まり、Cのユニゾンで終わります。

コーダ：Adagio（ゆっくりと）

ハ長調、4/4拍子。
合唱は登場せず、第1部の天上的な憧憬を込めた序奏が、今度はハ長調で管弦楽によって奏でられます。
全管弦楽の弱奏で静かに曲を閉じます。

作品の特徴

「運命の歌」は、天上の安らぎと人間の苦悩という対照的な感情を描き出した作品です。ブラームスの深い感情表現と緻密な構成が見事に融合し、聴く者に深い感動を与えます。特に、第1部の静けさから第2部の激しさへの移行、そして最後のコーダでの安らぎへの回帰は、この作品の大きな魅力です。

原詩と外部リンク

ヘルダーリンの原詩は、外部リンクで確認できます。

* Schicksalslied, Op.54の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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