運天港

運天港（うんてんこう）

運天港は、沖縄県国頭郡今帰仁村に位置する重要な港湾です。この港は、名護市の屋我地島に跨る羽地内海一帯の小さな港区を含んでおり、沖縄本島北部における主要な港の一つでもあります。ただし、重要港湾に指定されているのは運天港のみです。港湾管理は沖縄県が行っています。

歴史的背景

運天港には興味深い伝説があります。源為朝が伊豆大島からの逃避行の途中、暴風雨に遭遇し、「運を天に任せて」たどり着いたという物語が語られています。この伝説に基づき、港には上陸の碑が設置されています。

琉球王府時代、この地域は北山（沖縄島北部地域）の中心であった今帰仁城に隣接しており、行政の要所として重要な役割を果たしていました。特に、17世紀には薩摩軍の琉球侵攻の際、沖縄本島への第一歩がこの港から始まったと言われており、以来、薩摩との航路として利用されました。

また、第二次世界大戦以前は、奄美群島や近隣の離島との流通の中心地として農作物などを取り扱い、日本本土向けの黒糖の積出港としても栄えました。戦中には旧日本海軍の特殊潜航艇基地が設置されましたが、空爆によって壊滅し、米軍部隊の上陸を許すこととなりました。戦後は水深5メートルの岸壁が建設され、1,000トン級の船舶が利用可能となります。

1972年には沖縄本土に復帰し、運天港は沖縄県によって管理される重要港湾としての地位が確立されました。その後、1975年には沖縄国際海洋博覧会に関連する資材の搬入や来客輸送のため、10,000トン級の船舶が利用できる岸壁が整備されました。また、港の近隣には沖縄本島海域で唯一の天然の避泊地である羽地内海が整備されました。

旅客施設と航路

運天港には、旅客施設として切符売り場、喫茶店、売店、待合室などが整備されています。近隣の離島へのフェリー航路が就航しており、これらの船舶は離島側の自治体が運営しています。特に、荒天時には運天港に避難することが一般的です。

主要な旅客航路

• - 伊是名村営フェリー

- 運天港 - 伊是名島・仲田港
- 毎日2往復、所要時間は約55分。

• - 伊平屋村営フェリー

- 運天港 - 伊平屋島・前泊港
- 毎日2往復、所要時間は約1時間20分。

過去には、屋我地島への航路や古宇利島への運航も行われていましたが、いずれも橋の開通に伴って運航が廃止されています。

交通アクセス

港への公共交通機関は、最寄りのバス停「運天港」から出発するやんばる急行バス空港線があります。これにより、那覇市内と今帰仁間のアクセスが便利になりました。さらに、このバスはフerryの発着時に港内に乗り入れています。一方で、以前運航していた路線バスは2002年に廃止されたため、約10年ぶりに公共交通機関での接続が復活しました。

主な停留所

• - 那覇空港
• - 県庁北口
• - 古島駅前
• - 琉大入口
• - 池武当
• - 名護市役所
• - 本部港
• - 美ら海水族館
• - 今帰仁村役場
• - 運天港

注意事項

港内ではフェリーに乗船する車両以外の駐車が禁止されており、周辺には民間の駐車場が存在します。料金は1日500円ですが、夏季には1,000円に値上げされます。また、港付近には個人経営のレンタカー店もあります。

運天港は、観光地へのアクセスや離島への輸送の要所として、今後も重要な役割を果たしていくでしょう。

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