道嶋嶋足

道嶋 嶋足（みちしま の しまたり）

道嶋嶋足は奈良時代に活躍した武将で、陸奥国牡鹿郡がその出身地となります。彼は当初は無姓の丸子氏として知られており後に牡鹿連、さらには牡鹿宿禰、道嶋宿禰と姓を改めました。彼はその卓越した武士としての才覚をもって、正四位上・近衛中将という高位にまで上り詰めました。

出自

嶋足の一族は、上総国の伊甚屯倉から大化年間に国家の移住政策により移ってきたと考えられています。移住の初期段階を示す遺跡として、宮城県東松島市の矢本横穴が確認されており、ここでは伊甚屯倉の古い形式の墓が見つかったことから、同族の起源を示唆しています。さらに、彼と同時期に活動していた丸子大国や丸子牛麻呂らは、彼と同じように陸奥国の重要な役割を果たしていました。

また、歴史的な観点から、赤井官衙遺跡はこれらの移民集団や官衙の形成の重要な証拠として位置付けられています。この地域は陸奥国の政務の中心でもあったとされ、道嶋氏がここに拠点を持っていたことが推察されます。

丸子氏は古代の天皇の名とも関連しており、彼らが代々続く武士の血筋を引いていることから、陸奥国や他の東国に広く分布していたことも理解できます。特に、神奈川県や千葉県などには「丸子」という地名が多く存在しており、地名自体が彼らの広範な存在を証明しています。

経歴

孝謙天皇の治世である天平勝宝5年には、丸子から牡鹿連に改姓が行われました。彼が初めて歴史の表舞台に姿を現したのは、この時期のさまざまな政治的混乱の中であり、天平宝字年間には刀を携えて守衛も務めていたことが記録されています。

天平宝字8年には藤原仲麻呂の乱に際し、嶋足は指揮を執り、敵を討伐する功績を挙げたことで、瞬く間に叙位されました。この時、彼は従七位上から従四位下に上昇し、さらに宿禰姓を賜与されました。その後も彼の昇進は目覚ましく、さまざまな地方の役職を歴任する中で影響力を増していきました。

光仁天皇の治世でも近衛中将として重宝され、さらには複数の地方官職を兼務してその地位を確立していきます。彼の名が歴史に記されるのは、政治権力の中で重要な役割を果たし、豪族から王政に仕えた例が少なかったからでもあります。

最終的に彼は783年にその生涯を閉じるまで、奈良時代の中で傑出した軍事的指導者として輝いた存在でした。残した業績や彼の地位は、彼が武人としてだけでなく、政治家としても成功を収めたことを物語っています。道嶋氏の歴史は、古代日本の武士と政治の関わりについて重要な知見を提供するものとなっています。

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