道籏泰三

道籏泰三

道籏泰三（みちはた たいぞう、1949年10月9日 - ）は、日本のドイツ文学者、哲学者であり、京都大学の名誉教授です。

経歴

大阪府で生まれた道籏氏は、1976年に京都大学文学部独文科を卒業後、1979年に同大学院の修士課程を修了しました。その後、1980年に弘前大学の講師となり、助教授を経て、1985年に京都大学教養部の助教授に就任しました。その後、京都大学総合人間学部助教授、教授を経て、2002年からは環境人間学研究科の教授を務めました。2015年に定年退任し、名誉教授となりました。

研究内容

道籏氏は、ドイツ文学、特にヴァルター・ベンヤミンの研究で知られています。ベンヤミンの思想を深く掘り下げた研究は、日本におけるベンヤミン研究に大きな影響を与えました。また、哲学、精神分析学など、幅広い分野に関心を持ち、学際的な研究を展開しました。

著書

道籏氏は、数多くの著書を出版しています。主な著書としては、以下のようなものがあります。

『ベンヤミン解読』白水社 1997年
『堕ちゆく者たちの反転 ベンヤミンの「非人間」によせて』岩波書店 2015年
『昭和期デカダン短篇集』講談社 2018年

また、以下の書籍の編集も担当しています。

田中英光『空吹く風／暗黒天使と小悪魔／愛と憎しみの傷に 田中英光デカダン作品集』講談社〈講談社文芸文庫〉、2017年
葉山嘉樹『葉山嘉樹短篇集』岩波書店〈岩波文庫〉、2021年

翻訳

道籏氏は、翻訳家としても活躍しており、特にフロイト全集の翻訳に携わったことで知られています。主な翻訳書としては、以下のようなものがあります。

ノルベルト・エリアス『参加と距離化 知識社会学論考』波田節夫共訳 法政大学出版局 叢書・ウニベルシタス 1991年
ヴァルター・ベンヤミン『来たるべき哲学のプログラム』晶文社 1992年、新装版 2011年
ヴィルヘルム・エムリッヒ『アレゴリーとしての文学 バロック期のドイツ』平凡社 1993年
『フロイト全集 18（1922-1924年）自我とエス』岩波書店 2007年
『フロイト全集 6 症例「ドーラ」性理論三篇 1901-06年』渡邉俊之、越智和弘、草野シュワルツ美穂子共訳 岩波書店 2009年
『フロイト全集 13 モーセ像精神分析運動の歴史ナルシシズム 1913-14年』責任編集 立木康介、福田覚、渡辺哲夫共訳 岩波書店 2010年
『フロイト全集 21 続・精神分析入門講義 終わりのある分析とない分析 1932-37年』責任編集 福田覚,渡邉俊之共訳 岩波書店 2011年
* 『フロイト全集 15 精神分析入門講義』新宮一成、高田珠樹、須藤訓任共訳 岩波書店 2012年

道籏氏の研究は、ドイツ文学、哲学、精神分析学など、様々な分野に大きな影響を与えており、その学術的な貢献は高く評価されています。

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