近衛政家

近衛政家について

近衛政家（このえ まさいえ）は、室町時代中期から戦国時代前期にかけて、著名な公家の一人として知られています。彼は関白および太政大臣を務め、藤原北家公益近衛家の14代当主でもありました。彼の一字名は霞で、号は後法興院です。

生涯

政家は文安元年（1444年）に、当時の関白であった近衛房嗣（ふさつぐ）の次男として誕生しました。彼の生年には1445年や1446年説もあります。彼の兄には右大臣の近衛教基、弟には道興や増運、政深、政弁など多くの公家がいます。元服の際、室町幕府の第8代将軍、足利義政から偏諱を賜り、政家と名乗り始めました。

政家は、寛正3年（1462年）に兄の教基の死去に伴い近衛家を継ぎました。すぐ翌年には従三位に叙され、右近衛中将に任じられ、その後も各職位で昇進を続けました。応仁元年（1467年）には権大納言に任命され、文明4年（1472年）には正二位内大臣となりました。なお、応仁の乱の終息を迎えた文明11年（1479年）には関白と左大臣に就任し、その後も長享2年（1488年）には太政大臣に任命されました。

政家の死は永正2年（1505年）6月19日で、享年62歳でした。彼には正室がいなかったため、家女房である北小路俊子との間に生まれた尚通が後を継ぎましたが、別の女性との間に良誉をもうけています。

文化人としての一面

政家は卓越した和歌の才能を持っており、その作品は『新撰菟玖波集』にも収められています。特に、明応9年8月13日（1500年9月6日）に近江守護六角高頼の招待で琵琶湖を訪れた際に、即興で詠んだ近江八景を題材にした8首の和歌が有名です。しかし、近年の研究では、この八景に関する誕生説は政家によるものではないとの見解も強まっています。

また、近衛家は藤原氏の嫡流として、藤原道長の日記『御堂[[関白記]]』など、歴史的に重要な文書を多く相伝してきました。政家は、応仁・文明の乱の際にこれらの文書を安全な場所に移すことを決意し、京都の岩倉に避難させました。そのおかげで、近衛家の邸宅は焼失したものの、古文書は無事に後世に伝えられています。政家自身の記録として残した『後法興院記』も貴重な史料として評価されています。

官職および位階の履歴

政家は、以下のような官職および位階を歴任しています。
寛正4年（1463年）：従三位右近衛中将
寛正5年（1464年）：権中納言兼左衛門督
寛正6年（1465年）：正三位
文正元年（1466年）：従二位左近衛中将
応仁元年（1467年）：権大納言
文明4年（1472年）：正二位
文明7年（1475年）：内大臣
文明9年（1477年）：左近衛大将
文明10年（1478年）：辞職
文明11年（1479年）：関白・左大臣
文明13年（1481年）：左大臣を辞す
文明15年（1483年）：関白を辞す
長享2年（1488年）：太政大臣
延徳2年（1490年）：辞職
明応6年（1497年）：准三宮

系譜

政家の家族については、以下のような系譜があります。
父：近衛房嗣（1402-1488）
母：家女房播磨局 - 播磨守某娘
妻：北小路俊子（?-1482） - 等心院、北小路家の養女
男子：近衛尚通（1472-1544）
生母不明の子：良誉
* 子女：大聖院および女子

近衛政家の多方面での活躍と、彼の遺した文化的な功績は、後世にわたって高く評価されています。彼の生きた時代背景や地位における影響力は、今なお研究が続けられています。

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