道路愛称

道路愛称とは、正式な道路名とは別に付けられた、親しみやすい名前のことを指します。道路通称とも呼ばれます。これらの愛称は、地域住民に道路への関心を深め、より身近に感じてもらうことを目的としています。正式名よりも覚えやすく、伝えやすいという利点があり、観光や地域のイメージアップにも貢献します。

日本全国には、1万を超える道路に愛称が付けられています。中には、複数の自治体で同じ愛称が使われている例も見られます。「駅前通り」は、その代表的な例で、全国の都市部の駅前には、必ずと言っていいほど、この愛称が付けられた道路があります。その他、「中央通り」や「本町通り」なども、都市部の中心街でよく見られる道路愛称です。

道路愛称は、自然に発生することもありますが、多くは自治体が主導して名付けられます。地域住民の生活に密着した道路に関心を深めてもらうため、一般公募で愛称を決定する自治体が増えています。このような動きは全国的な傾向で、「東京都通称道路名検討委員会」のように、愛称を募集する自治体は、日本全国各地に存在します。

道路愛称は、利用者にわかりやすく、親しみやすい名前を付けることで、交通の利便性を向上させる効果があります。場所の特定を容易にし、目的地への移動をスムーズにする役割を果たします。また、災害時には避難や緊急輸送を円滑に進める上で、道路愛称が役立つこともあります。

日本国内では、都道府県道や市区町村道など、様々な道路に愛称が付けられています。例えば、千葉県では「千葉県道路愛称名」が制定され、東京都では「東京都内の通り」として通称が公告されています。また、秋田市では1983年から道路愛称事業が開始され、仙台市、宇都宮市、福岡市などでも、それぞれの地域で愛称が制定されています。

道路愛称は、地域のイメージアップにも貢献しており、地域おこしの一環として制定されることもあります。

参照資料:
浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』（初版）日本実業出版社、2015年10月10日。ISBN 978-4-534-05318-3。

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