道頓堀劇場

道頓堀劇場

東京都渋谷区道玄坂にその拠点を置くストリップ劇場、道頓堀劇場（どうとんぼりげきじょう）は、日本のストリップ業界において、ロック座や東洋ショー劇場などと並び称される大手劇場の一角を占めています。かつては北海道札幌市のすすきのにも系列劇場が存在しており、両者を区別するために渋谷の劇場は「渋谷道劇」、札幌の劇場は「札幌道劇」と呼ばれることもありました。

劇場の歩み

道頓堀劇場の歴史は、1970年1月16日に「渋谷道頓堀劇場」が開場したことから始まります。その独特な名称についてはいくつかの説があります。一つには、「道玄坂劇場」と命名する予定だったものが、誤って「道頓堀劇場」と記された看板ができてしまい、そのまま使用することになったという説。もう一つは、当時の漫才ブームを背景に、お笑いの中心地というイメージが強かった関西の地名を冠することで集客効果を高めようとしたという説です。後者の説は、かつて劇場の幕間コントに出演していたタレントの渡辺正行氏によって語られています。

開場からしばらくの間、劇場はSMや本番行為を含む、比較的過激な演目を主体としていました。しかし、1985年の風俗営業法改正に伴い、業界全体への規制が強化されると、道頓堀劇場も大きな路線転換を迫られます。従来の過激路線から脱却し、名作文学や演劇をモチーフにした、より芸術性の高い集団劇形式のステージへと方向を転換しました。

この時期には、清水ひとみ（後に劇場社長を務める）、影山莉菜、美加マドカといった若手ダンサーがスカウトされ、加入しました。彼女たちは、ストリップ業界における「アイドル路線」の先駆けとなり、特に清水ひとみは雑誌やスポーツ紙などのメディアにも頻繁に取り上げられ、劇場の知名度向上に大きく貢献しました。彼女は1986年にストリップを引退した後、女優としても活躍しています。また、この変革期と前後して、劇場の幕間コントには多くの若手コメディアンが出演しており、後に著名なタレントへと成長する人物を多数輩出しています。

一時閉館と再開、そして札幌の劇場

こうした改革が功を奏し、劇場は隆盛を迎えましたが、地権者からの立ち退き要求により、渋谷道頓堀劇場は1995年末をもって一度閉館を余儀なくされます。しかし、清水ひとみら関係者の尽力により、1999年4月には北海道札幌市に札幌道頓堀劇場をオープンさせました。さらに、2001年6月にはかつて渋谷道頓堀劇場があった場所の土地建物を親会社が取得し、渋谷での営業を再開することができました。

渋谷道頓堀劇場

現在の渋谷道頓堀劇場は、東京都渋谷区道玄坂の百軒店にある坂の途中に位置しています。過去には、2008年11月に経営者やダンサーらが公然わいせつ容疑などで逮捕され、2009年3月6日から240日間の営業停止処分を受けたこともあります。

かつてはコメディアンの杉兵助が所属するなど、幕間コントにも力を入れていた時期があり、コント赤信号（渡辺正行、小宮孝泰、ラサール石井）、ゆーとぴあ、中村有志、ダチョウ倶楽部、南部虎弾、楠美津香といった、現在も活躍する、あるいはかつて活躍した多くの著名なコメディアンを輩出しました。爆笑問題の二人も1990年代初頭に幕間コントに出演していた時期があります。しかし、現在では幕間コントの上演は行われず、ストリップショーのみの公演となっています。

札幌道頓堀劇場

札幌道頓堀劇場は、北海道札幌市中央区にて1999年4月に開業した系列劇場です。札幌に唯一残ったストリップ劇場でしたが、開業当初から赤字が続いていたとも言われるなど、経営状況が厳しいことが囁かれていました。2007年4月28日には、劇場支配人や従業員、ダンサーらが公然わいせつ罪の現行犯で逮捕されるという事態が発生しました。支配人は職業安定法違反の容疑でも再逮捕・起訴され、同年8月17日には有罪判決を受けています。

この摘発後、劇場は2007年5月3日に一日だけ営業したものの、その後長期休業に入りました。2009年1月21日に一度営業を再開しましたが、2010年1月11日以降、再び休業状態が続いています。劇場が入居していた「札幌道劇ビル」は、2016年時点でも残存しており、他の風俗関連店舗などが入居しています。

劇場を彩った人々

道頓堀劇場には、多くの個性的なストリッパーたちが在籍し、観客を魅了してきました。本文中で触れた清水ひとみをはじめ、多くのダンサーがこの劇場を舞台に活躍し、また巣立っていきました。彼らキャスト、そして裏方で支えるスタッフたちの存在が、道頓堀劇場の歴史を紡いできました。

また、劇場のオーナー親族が開業したお笑いライブハウス「シアターD」の名称にある「D」は、この道頓堀劇場に由来すると言われています。

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