遠山友寿

遠山友寿（とおやま ともひさ）

美濃苗木藩の第11代藩主である遠山友寿は、天明6年（1787年）に第9代藩主・遠山友清の孫として江戸で生まれました。父は友清の長男である遠山友福でしたが、母は友寿を出産した翌日に亡くなっています。また、父の友福も友寿が生まれて間もなく亡くなったため、祖父である第10代藩主・遠山友随の嫡孫となりました。

寛政4年（1792年）、祖父の隠居により、わずか7歳で家督を相続しました。幼少のため、肥後人吉藩主の相良長寛が後見人となりました。寛政9年（1797年）には将軍・徳川家斉に拝謁しています。

寛政12年（1800年）には、初めて苗木城に入城し、藩主としての生活を始めました。享和元年（1801年）には、鍛冶橋御門番や駿府加番を勤め、従五位下・刑部少輔に叙任されました。藩士に対しては、指導者の心構えと指導の重要性を説き、藩政の基礎を固めようとしました。

文化4年（1807年）には、先代藩主の諸士心得を徹底させ、藩士の意識改革を図りました。文化11年（1814年）には美濃守に改めました。しかし、当時の藩財政は非常に厳しく、近江国信楽代官取扱いの宿場助成貸付金3千両の借用を申し込み、800両の融通を受けました。また、倹約令を繰り返し発令し、借上や貸下げ、家臣の統率強化にも努めました。

文政2年（1819年）には、継室との間に後の藩主となる友禄が誕生しました。文政13年（1830年）には、衣類の倹約規定が定められました。天保3年（1832年）には、倹約令によって家中借上米が実施されましたが、藩財政は好転せず、借米期間は延長され続けました。

天保9年（1838年）、53歳で亡くなり、三男の友禄が後を継ぎました。墓所は岐阜県中津川市の苗木遠山家廟所にあります。

遠山友寿は、幼くして藩主となり、藩財政の立て直しに苦心しながらも、藩政改革に尽力した人物でした。指導者としての心構えを説き、藩士の意識改革を図るとともに、倹約令を出し、家臣の統率を強化するなど、その手腕を発揮しました。

参考文献

『苗木藩政史研究』　第一章　苗木藩の成立　第一節　苗木藩の成立事情　二　歴代藩主の素描　十一代美濃守友寿　p15～p16　後藤時男　中津川市　1982年
『中津川市史　中巻Ⅰ』　第五編 近世（一） 第一章 支配体制と村のしくみ　第三節　領主の略系譜　一　遠山家　遠山美濃守友寿　p50　中津川市　1988年
『恵那郡史』　第七篇　江戸時代　(近世「領主時代」)　第二十八章　諸藩分治　其二　苗木藩距江戸　遠山友寿　p237　恵那郡教育会　1926年
『福岡町史　通史編 下巻』　第五部 近世　第一章　近世における苗木藩の概観　第一節 苗木藩成立と領村支配　苗木遠山氏と藩主　p1～p8　福岡町　1992年

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