遼隧の戦い

遼隧の戦い

遼隧の戦いは、中国の三国時代に発生した重要な戦闘であり、遼東地区で半独立的な勢力を築いた公孫氏が、魏と武力衝突を繰り広げました。最終的に、遼東公孫氏はこの戦闘によって滅亡しました。

背景

公孫氏は後漢時代に遼東に移住し、当地での影響力を増していきました。しかし、歴代の王朝は遼東を厳格な境界として扱っており、周辺の異民族との交易は行われていませんでした。このため、公孫氏は辺境の地で半独立的な政権を築くことができました。後漢末期の動乱を経て三国鼎立となり、各国は国益や隣国への牽制を兼ねて、異民族との交流を模索するようになります。

公孫氏の当主・公孫淵はこの状況を巧みに利用し、呉の孫権に使者を送りつつ、呉の使者を襲撃して魏にその首を送ることで、恩恵を得ました。これにより公孫淵は楽浪公の地位を獲得しましたが、孫権はこの裏切りに激怒し、公孫淵討伐の準備を進めます。しかし、臣下の薛綜から諫めを受け、討伐は断念されました。

237年、孫権は高句麗と連携をとり、直接遼東への軍を派遣しようとしましたが、魏の軍司令官・毌丘倹が阻止したため、孫権は再び親征を断念。これを受けて、魏は公孫淵に上洛を命じましたが、公孫淵は拒否し、逆に遼隧で毌丘倹を攻撃しました。

同年、公孫淵は自ら燕王を名乗り、年号を紹漢と定めて、自立を宣言しました。ほかの部族との結びつきを強め、魏との戦いを続けました。

遼隧の戦闘

238年、魏の曹叡は司馬懿に兵を指揮させ、公孫淵討伐の命令を出しました。司馬懿は遼東に到着し、公孫淵の軍を攻撃しましたが、公孫淵もまた敵に対抗するために戦力を送りました。両軍は激しい戦闘を繰り広げ、最終的には公孫淵の軍が防御のために堅固な陣地を築きました。

司馬懿は一時的に撤退することで敵を欺き、主都である襄平への侵攻を試みます。この策略により、公孫淵はその軍を引き上げ、都の防衛を強化するも、攻撃を受けて防衛線は崩れ始めました。

長雨が続き、魏軍の士気は低下しましたが、司馬懿はそれを利用し、公孫淵軍が油断するのを待ちました。雨が上がった後、かつての包囲を突破し大規模な攻撃を仕掛けました。公孫淵の軍は食糧不足に陥り、内部での争いが激化し、最終的に彼は捕われの身となります。

公孫淵は処刑され、その一族も同様の運命を辿りました。これにより遼東公孫氏は滅亡し、魏が遼東の支配を確立しました。

戦後の影響

遼隧の戦いでの勝利により、魏は遼東地域の完全な支配を獲得しましたが、この地域の権力の消失により、倭国が魏に使者を送る可能性が生まれました。これが後に日本の中国大陸文化への接触を促すこととなります。

また、司馬懿の戦績は魏における軍権を強化し、その後の政争を引き起こすきっかけとなりました。このように遼隧の戦いは、単なる戦闘を超えて、その後の国際政治や文化交流にも大きな影響を及ぼしたと言えます。

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