那智山 (山)

那智山（なちさん）

和歌山県那智勝浦町の北東部に位置する那智山は、複数の山々からなる総称です。その名は、地形の険しさから「難地」に由来するとも、熊野本宮大社や熊野速玉大社よりも後に開かれた山であることから「後（ノチ）」に由来するとも言われていますが、確かな起源は不明です。那智山は、世界遺産「紀伊山地の[[霊場と参詣道]]」の一部として登録されています。

概要

那智山は、那智川の源流域を形成し、大雲取山（966m）、烏帽子山（909m）、光ヶ峯（686m）、妙法山（749m）などの山々が連なります。全域が吉野熊野国立公園に指定されており、那智滝やその水源林である那智原始林（天然記念物）など、豊かな自然が残されています。現在でも、熊野那智大社や、滝を神体とする飛瀧神社など、往時の信仰を伝える遺跡が数多く存在します。また、周囲の自然からも、古代の自然信仰の面影を垣間見ることができます。天候の良い日には、富士山から約322km離れたこの地からも、その美しい姿を望むことができると言われています。

歴史

平安時代に那智山経塚が作られたことからもわかるように、那智山は古くから信仰の対象であり、聖地として歌に詠まれ、南海補陀落の山としても知られてきました。観音菩薩の浄土とみなされ、修験者などが集まる霊場として発展しました。那智滝の神聖視、あるいは那智滝が妙法山への禊の場であったことが、聖地化の始まりであると考えられています。

『枕草子』には那智滝に関する記述があり、1078年には那智山への参詣記録も残っています。その後、多くの堂社が建立され、一山の霊場として発展し、浄蔵や花山法皇らが滝籠・山籠修行を行いました。

1083年以前には、神仏習合により熊野三山が成立し、那智山では熊野夫須美神を主祭神とする熊野夫須美神社（現在の熊野那智大社）が建立されました。三山成立後、上皇や貴族、庶民など多くの参詣者が訪れ、その記録が残されています。また、那智滝は多くの和歌にも詠まれてきました。

鎌倉時代初期には、熊野夫須美神社を中心に那智山の聖地が組織化されました。この頃、山内には那智十三所権現社（現在の熊野那智大社）、如意輪堂（現在の青岸渡寺）、滝本飛滝権現（現在の飛瀧神社）、千手堂、山上不動堂、如法道場、奥之院（滝見寺）などが建立されました。鎌倉時代から室町時代にかけては、那智山御師家尊勝院、実報院、廊之坊に繋がる各坊が成立し、室町時代後期には本願の各坊も登場しました。

交通機関

JR紀勢本線那智駅または紀伊勝浦駅から熊野交通バスで約20～30分。

脚注

参考文献
『日本歴史地名大系（オンライン版）』（小学館）

関連項目

熊野三山
熊野那智大社
那智山周辺の寺社
飛瀧神社
青岸渡寺
阿弥陀寺
熊野参詣道
大門坂
雲取越え
日本の山一覧
那智 (重巡洋艦) - 大日本帝国海軍の妙高型重巡洋艦の2番艦。

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