郊外線 (韓国)

郊外線の概要

郊外線（キョウェせん）は、大韓民国京畿道の高陽市徳陽区にある陵谷駅から議政府市の議政府駅までを結ぶ鉄道路線です。この路線は韓国鉄道公社（KORAIL）が運営しており、全線が開業した当初は「ソウル郊外線」という名称で呼ばれていました。しかし、2004年に旅客営業が中断され、その運行は停止しました。

歴史的背景

郊外線の構想は、日本の統治時代から存在していました。1944年2月に工事が着手されたものの、朝鮮が光復を迎えたため、未完成のままとなっています。当時は、京義線の旅客や貨物を中央線経由で釜山に輸送する役割が期待されていました。さらに、京元線の列車を京城府へ入れることなく移動させる車両基地の役割も果たす予定でした。

1959年にこの郊外線の現存部分である陵議線が工事を開始し、1961年に陵谷 - 佳陵間が部分開通、その2年後の1963年に全線が開業しました。開業当初は、ソウル駅から議政府駅までの環状運転を行う旅客列車も設定されていましたが、1986年に首都圏電鉄1号線が延伸されたことにより、運行区間は大幅に縮小されました。その結果、運行は陵谷駅と議政府駅間のみとなり、すべての列車は気動車で運行されることになりました。

沿線の特徴と状況

沿線地域はソウル特別市の北側に位置し、北朝鮮に近いため軍事基地が多く、開発制限区域に指定されています。この影響で、自然環境が残っている一方、人口が少なく、乗客もなかなか増えなかったため、利用状況は厳しいものでした。しかし、観光資源としての可能性もあり、1994年からは中国製の蒸気機関車を使用した観光列車も運行されていました。しかし、経済危機などの影響で2000年には観光列車も運行終了となりました。

その後、2004年のKTX開業を前に定期旅客列車の運行が停止され、以降は韓国軍基地への物資輸送を行う貨物列車だけが運行される状況となりました。しかし、これも2013年に終了し、郊外線は実質的な休止状態に入りました。

再開の動き

2010年代以降、沿線自治体は旅客輸送の再開を求める声を上げ、その後、郊外線を電化・複線化し首都圏電鉄3号線との直通運転が提案されました。しかし、具体的な整備計画は長期間進展がなく、2021年にようやく再開計画の具体案が浮上しました。2021年の報道によると、沿線自治体が運営負担を分担し、気動車による運行が提案されていました。

2025年には旅客輸送が再開されることになりましたが、当初予定されていた9501系気動車が耐用年数に達したため、プッシュプル列車の運行方式に変更されることとなりました。運行開始後は通勤時間帯に1日4往復の運行が計画され、特別な運賃設定もありました。現在では、通常の運賃体系に戻り、再び利用が期待されています。

駅情報

この郊外線沿いに存在する駅には大谷、元陵、日迎、長興、松湫、議政府の6つの駅があります。他の駅は今後閉鎖される予定です。

このように郊外線は韓国の歴史と社会的背景に根差した複雑な経緯を持つ路線であり、再開発が進められていることから今後の動向が注目されます。

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