郵便局 (企業)

郵便局株式会社（ゆうびんきょく）

郵便局株式会社（英語: Japan Post Network Co.,Ltd.）は、かつて日本国内で郵便局を運営していた実質的な国有企業です。2012年10月1日に郵便事業株式会社を吸収合併し、日本[[郵便]]株式会社に商号を変更しました。

通称は「郵便局会社」、愛称は「JP 郵便局」（英通称はJP NETWORK）。コーポレートカラーは「ゆうびんきょくオレンジ」です。

概要

2007年10月1日、郵政民営化に伴い、郵便局および郵便窓口業務を活用した地域住民の利便性向上を目的とする株式会社として設立されました。旧日本郵政公社から郵便局や社宅などの施設運営、職員などを承継し、営業を開始しました。

発足時には、全国に約24,600店舗（局）を展開し、コンビニエンスストア最大手・セブン-イレブンの約2倍の店舗網を誇りました。従業員数に占める管理職の割合が高く、全従業員11万8000人のうち、5人に1人が郵便局長でした。

初代の最高経営責任者（CEO）兼会長にはイトーヨーカ堂の川茂夫氏、最高執行責任者（COO）兼社長にはスミセイ損害保険の寺阪元之氏が就任しました。その後、2009年に寺阪氏の後任として永富晶氏が社長に、川氏の後任として古川洽次氏が会長に就任しました。

2012年10月1日、郵便事業株式会社を吸収合併し、商号を日本[[郵便]]株式会社と改めました。

事業内容

郵便局株式会社は、郵便事業・ゆうちょ銀行・かんぽ生命[[保険]]などから委託を受け、郵便局の窓口や渉外社員を通じて、郵便・貯金・保険商品の販売や各種サービスを提供していました。また、損害保険や生命保険の販売などの新しいサービスも展開していました。

主な収益源は、委託元会社から支払われる手数料収入で、特にゆうちょ銀行からの手数料が全体の半分を占めていました。このビジネスモデルは、製造と販売を分離し、手数料収入を軸とする新しいものでした。

また、2008年には東京都目黒区の旧日本郵政公社社宅跡地で、三井不動産レジデンシャルとの共同事業による分譲マンション事業も展開しました。

沿革

2007年10月1日：郵政民営化と同時に設立。
2007年10月26日：過疎地での簡易[[郵便局]]閉鎖を減らすため、JR東日本の無人駅に簡易[[郵便局]]を併設する計画を発表。
2007年12月25日：閉鎖された簡易[[郵便局]]の代替措置として、移動郵便局「ポスクル」の試験運行を開始。
2008年7月22日：東京中央[[郵便局]]仮庁舎内に貯金窓口を設置し、銀行代理店業を開始。
2012年10月1日：郵便事業株式会社を吸収合併し、日本[[郵便]]株式会社に商号変更。

郵便局の組織

民営化以前は郵便課、貯金課、保険課といった組織でしたが、民営化後は窓口社員と貯金関係渉外社員が営業部、保険関係渉外社員がお客さまサービス部として再編されました。

渉外

民営化前は、郵便貯金・簡易保険の営業・集金などの渉外業務は「郵政外務職員」が担当していましたが、民営化により、集配業務と貯金・保険渉外業務の兼務は不可能となりました。郵便の集配業務は郵便事業、ゆうちょ銀行直営店併設局ではゆうちょ銀行が貯金の渉外業務を担当し、それ以外の外務職員は郵便局会社に渉外社員として引き継がれました。

窓口サービス

郵便

切手やはがき、収入印紙の販売、郵便物やゆうパックの引受などを引き続き行っていました。不在通知書による郵便物の引き取りはゆうゆう窓口（郵便事業）で取り扱い、はがきや切手類の交換は郵便局会社の窓口のみで取り扱っていました。

貯金

ゆうちょ銀行の銀行代理店として、通常貯金や為替、振替などの銀行代理業務や、国債、投資信託、変額年金などの金融商品仲介業務を行っていました。一部の拠点では外貨両替やトラベラーズチェックの販売・買取も行っていました。

保険

かんぽ生命[[保険]]の代理店として、保険商品の販売や保険金請求、各種手続きなどを行っていました。一部の郵便局ではかんぽ生命以外の生命保険や損害保険の代理店業務も行っていました。

物販事業

封筒や文房具などの販売や、カタログ販売の取り扱いなどを行っていました。収入印紙や宝くじの販売も物販扱いとなりました。

民営化後の新たなサービス

カタログ類の設置による通信販売

各地の名産品を紹介するカタログを設置し、郵便振替払込票付きのチラシで販売者と購入者を仲介する通信販売サービス「ふるさと小包」を展開していました。また、郵便局が無償で配布していたカタログ販売についても、販売手数料を徴収するようになりました。

年賀状印刷サービス

年賀状印刷サービスの受付を全国の郵便局で開始しました。これはコンビニエンスストアやスーパーマーケットで行われているサービスと同様で、はがきの名入れ印刷・送付をセットにしたサービスでした。

JPローソン

郵便局や日本郵政の施設内に出店するコンビニエンスストアとして、ローソンと業務提携し、郵便局物販サービスが運営するローソンのフランチャイズ店舗をJPローソンとして展開しました。

郵便局のお取次ぎ

2008年から開始された「郵便局のお取次ぎ」は、各種サービスのチラシやパンフレットを郵便局に設置し、申込を斡旋するサービスでした。引越し、ホームセキュリティ、ハウスクリーニング、ブロードバンドインターネット接続、携帯電話などの取次を行っていましたが、2014年3月31日にサービスを終了しました。

生命保険商品代理店業務

2008年10月より、かんぽ生命[[保険]]では対応できない補償をカバーする、日本郵政グループ外の生命保険会社の商品を販売する保険代理店業務を開始しました。

損害保険商品代理店業務

2007年10月より、複数の損害保険会社と代理店契約を結び、自動車保険の募集契約を行う保険代理店業務を開始しました。

文房具の販売

2009年6月より、JPローソンで販売していた文房具を全国の郵便窓口で販売を開始しました。

メディア事業

2007年11月より、映画の前売券販売に参入しましたが、事実上撤退しました。2008年10月よりフリーペーパー「モヨリノ」を創刊しましたが、2011年3月に休刊しました。その後、2011年12月より「郵便局かわら版」を創刊しました。

店舗

旧郵便専門局を除く全ての郵便局が郵便局会社の店舗となりました。普通[[郵便局]]、特定[[郵便局]]の分類は廃止され、簡易[[郵便局]]のみが分類として残りました。郵便の集配業務は日本[[郵便]]に移管され、ゆうゆう窓口を除く全ての窓口と貯金、保険の渉外業務が郵便局会社で取り扱われました。

ゆうちょ銀行直営店が設置される局の窓口では、郵便局会社による貯金サービスは実施されず、郵便と保険のみのサービスとなります。かんぽ生命[[保険]]については、直営店設置の局であっても、窓口業務は全て郵便局会社が担当していました。

ゆうちょ銀行直営店が併設された局では、出入口に郵便局会社と銀行のロゴマーク、店名、コーポレートカラーが表示され、局内は窓口サインの色や事務室の仕切りで区別されていました。

郵便局名

基本的に旧公社時代からの名称を継承しましたが、同じ建物に入っている郵便事業会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の各支店は郵便局の名称と異なる場合がありました。中央郵便局と同じ建物に入っている場合は名称に「中央」が入らず、同名の郵便局があって名称が重複する場合は地名が付くなどの違いがありました。

同居する施設名と異なる局名

郵便局株式会社に併設する郵便事業会社やゆうちょ銀行、かんぽ生命[[保険]]の支店は、以下のように異なる名称で展開されていました。

郵便事業会社の支店名と異なる例
郵便局株式会社東京中央[[郵便局]]／郵便事業会社銀座支店JPタワー内分室
郵便局株式会社富山中央郵便局／郵便事業会社富山南支店富山駅前分室
郵便局株式会社大阪中央[[郵便局]]／郵便事業会社大阪支店大阪駅前分室
郵便局株式会社名古屋中央郵便局／郵便事業会社名古屋支店
その他、多数

ゆうちょ銀行の店名と異なる例
郵便局株式会社北海道庁赤れんが前郵便局／ゆうちょ銀行札幌支店
郵便局株式会社仙台中郵便局／ゆうちょ銀行仙台支店
郵便局株式会社名古屋中[[郵便局]]／ゆうちょ銀行名古屋支店
郵便局株式会社広島中[[郵便局]]／ゆうちょ銀行広島支店
その他、多数

かんぽ生命の支店名と異なる例
郵便局株式会社横浜港郵便局／かんぽ生命[[保険]]横浜支店
郵便局株式会社福島東郵便局／かんぽ生命[[保険]]福島支店
郵便局株式会社倉賀野郵便局／かんぽ生命[[保険]]群馬支店
郵便局株式会社川越西郵便局／かんぽ生命[[保険]]川越支店
その他、多数

車両型郵便局（移動郵便局）

災害時などに通常の業務が困難になった場合に、車両型郵便局を派遣して簡易的な業務を行うことができました。東日本大震災などでも臨時営業で利用されました。

各年度業績

（単位：億円）

脚注

注釈

出典

関連項目

日本郵政公社
日本郵政
郵便局
郵政民営化
立川6億円強奪事件

外部リンク

日本郵政株式会社
日本[[郵便]]株式会社
* 郵政民営化

もう一度検索