鄞州区

鄞州区（ぎんしゅうく）は、中華人民共和国浙江省寧波市に位置する市轄区です。

歴史

鄞州区の前身は、紀元前222年に秦朝によって会稽郡に設置された鄮県（ぼうけん）に遡ります。当時の鄮県は、現在の寧波市鄞州区、北侖区、そして舟山群島を含む広大な地域を管轄していました。前漢時代にも鄮県は存続しましたが、一時的に海治県（かいちけん）と改称された後、後漢時代に再び鄮県に戻されました。

隋朝の時代になると、589年に鄮県、鄞県（ぎんけん）、余姚県（よようけん）が廃止され、句章県（こうしょうけん）に統合されました。しかし、621年には句章県から鄮県と鄞県が分割され、その後625年に再び統合されるという変遷を辿りました。738年には鄮県から慈渓県（じけいけん）、翁山県（おうざんけん）、奉化県（ほうかけん）が分離しました。

909年、五代十国時代の後梁（こうりょう）により、鄮県は鄞県と改称され、この名称は現代まで引き継がれました。2002年2月1日には、鄞県は市轄区である寧波市鄞州区に改編されました。2016年には、奉化江（ほうかこう）の西側に位置していた地域が海曙区（かいしょく）に移管され、同時に旧江東区（こうとうく）の地域が統合されて、現在の鄞州区の形となりました。

行政区画

鄞州区は、以下の街道と鎮によって構成されています。

街道:
下応街道（かおうかいどう）
鍾公廟街道（しょうこうびょうかいどう）
梅墟街道（ばいこかいどう）
中河街道（ちゅうかかいどう）
首南街道（しゅなんかいどう）
潘火街道（はんかかいどう）
百丈街道（ひゃくじょうかいどう）
東勝街道（とうしょうかいどう）
明楼街道（めいろうかいどう）
白鶴街道（はっかくかいどう）
東柳街道（とうりゅうかいどう）
東郊街道（とうこうかいどう）
福明街道（ふくめいかいどう）
新明街道（しんめいかいどう）
聚賢街道（しゅうけんかいどう）

鎮:
瞻岐鎮（せんぎちん）
咸祥鎮（かんしょうちん）
塘渓鎮（とうけいちん）
東銭湖鎮（とうせんこちん）
東呉鎮（とうごちん）
五郷鎮（ごきょうちん）
邱隘鎮（きゅうあいちん）
雲竜鎮（うんりゅうちん）
横渓鎮（おうけいちん）
姜山鎮（きょうざんちん）

出身者

鄞州区は、歴史の中で多くの著名な人物を輩出してきました。

趙叔孺（ちょうしゅくじゅ）：清末民初の篆刻家、書家、画家として知られています。
夏晋麟（か・しんりん）：中華民国（台湾）の国際法学者、教育者、外交官であり、国際連合で安全保障理事会中華民国副代表と経済社会理事会中華民国代表を務めました。
袁礼敦（えんれいとん）（袁履登）：中華民国の実業家、政治家で、主に上海で活躍しました。
* 董顕光（とうけんこう）：中華民国（台湾）の政治家、外交官、ジャーナリストであり、駐日・駐米大使を歴任しました。『中央日報』の董事長を務め、『蒋総統伝』の著者としても知られています。

このように、鄞州区は歴史的な変遷を経て現代に至り、多様な分野で活躍する人材を輩出してきた地域です。

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