鄭鉞

鄭鉞（てい えつ）

鄭鉞（チェン・ユエ、1878年12月24日 - 1943年4月8日）は、中華民国初期に活躍した司法官、政治活動家です。字は英伯、または越原とも称しました。娘は、美貌のスパイとして知られる鄭蘋茹です。

生涯

1878年、浙江省蘭渓県に生まれた鄭鉞は、1906年に日本へ留学し、岩倉鉄道学校に入学しました。この時期に政治結社である中国同盟会にも入会しています。岩倉鉄道学校を中退後、法政大学法政速成科に進み、卒業後は専門部法律科へ進学、1912年に卒業しました。留学中には、木村はな（鄭華君）と出会い、結婚しています。

1916年に上海に帰国し、弁護士資格を取得。1919年には陝西靖国軍に参加し、一等秘書に任命されました。陝西靖国軍解散後は上海に戻り、弁護士業を営む傍ら、復旦大学で法学を教鞭をとりました。

1928年、中央特種刑事臨時法廷審判員に任命され、1929年には司法行政部法官・懲戒委員会秘書処機要科科長に就任。その後、1930年に代理江蘇高等法院第二分院検察官、1931年に江蘇高等法院第二分院検察官、1933年に山西高等法院第一分院院長、1934年には福建高等法院第一分院首席検察官、そして同年に江蘇高等法院第二分院検察官、1936年には江蘇高等法院第二分院首席検察官を歴任しました。

1943年4月8日、その生涯を閉じました。

人物

鄭鉞は、日本留学中に于右任と親交を深め、家族に「父なき後は、于右任を頼れ」と言い残すほどでした。鄭鉞の死後、于右任は彼の家族を保護し、国民党政権が台湾に移った後も、鄭鉞の娘を秘書係として長く務めさせました。

汪兆銘の南京国民政府が成立し、共同租界を含む上海がその支配下に入ると、鄭鉞は法院への出勤を取りやめました。また、最高法院院長への就任要請も辞退しています。

参考資料

『美貌のスパイ 鄭蘋如』柳沢隆行（光人社、2010）
『魔都上海に生きた女間諜』高橋信也（平凡社、2011）

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