于右任

于右任（う ゆうじん）：革命家、政治家、文化人

于右任（1879年4月11日 - 1964年11月10日）は、中国の清朝末期から民国初期にかけて活躍した政治家、軍人、書家、文化人、教育家、ジャーナリストです。中国同盟会以来の革命派の重鎮であり、国民政府監察院長を務めたことで知られています。本名は伯循ですが、字の右任で広く知られています。また、神州旧主、騒心、大風、剥果、太平老人など、多数の筆名を用いていました。祖籍は陝西省西安府涇陽県です。

生涯

清末民初の活動

1903年（光緒29年）に挙人となりますが、政治を風刺したことが原因で清朝から指名手配を受け、翌年から上海に潜伏しました。震旦学院に入学後、学友とともに復旦公学（後の復旦大学）を創設に尽力。1906年（光緒32年）には日本へ留学し、中国同盟会に加入しました。帰国後の1907年（光緒33年）4月には、上海で『神州日報』を創刊し、社長に就任。『民呼日報』、『民立報』なども創始し、革命派の言論・思想を積極的に発信しました。

中華民国での活動

1912年（民国元年）1月、南京に中華民国臨時政府が設立されると、交通部次長に任命されました。しかし、翌年3月に宋教仁が暗殺されると、袁世凱打倒を目指して二次革命（第二革命）に参加。1918年（民国7年）に護法運動が開始されると故郷に戻り、胡景翼と共に陝西靖国軍を組織し、総司令となりました。1922年（民国11年）5月、上海に移り、葉楚傖とともに国立上海大学を創設し、校長に就任しました。1924年（民国13年）4月には、中国国民党第1期中央執行委員に選出され、同年12月には孫文に随行して北京入りしました。

国民政府時代

1926年（民国15年）9月、馮玉祥による五原誓師に参加し、陝西省政府主席となります（ただし、石敬亭が代理）。翌年には、国民聯軍駐陝総司令として北伐に呼応する準備を整えました。1927年4月に蔣介石が南京に国民政府を創設すると、国民政府委員（同年9月に常務委員）、軍事委員会常務委員に任命されました。1928年（民国17年）2月には審計院院長に、1931年（民国20年）11月には監察院院長に任命され、以後死去するまで30年以上にわたりこの地位に留まりました。国民党においても、第1期から第6期まで一貫して中央執行委員に選出され、1938年（民国27年）には国防最高委員会常務委員に任ぜられました。

1948年（民国37年）には副総統選挙に出馬しましたが、李宗仁に敗れました。国共内戦が終盤を迎えた1949年（民国38年）には台湾へ移り、翌年に国民党評議委員を兼任しました。1964年（民国53年）11月10日、台北市にて85歳で逝去。政治家として活動する傍ら、文化人としても知られ、書や漢詩において優れた作品を数多く残しました。

著作

『涇原故舊記』1912年
『變風集』1912年
『右任詩存』1926年
『于右任言行録』1931年
編著『標準草書』1937年
『標準草書範本千字文』1944年
* 『右任文存』

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