酒井 健治
1977年8月6日生まれ、
大阪府池田市出身の
現代音楽作曲家。
兵庫県で育ち、幼少期から
ピアノに親しみ、後に久保洋子氏、近藤圭氏に作曲を師事した。
経歴と教育
1996年、
京都市立芸術大学音楽学部作曲科へ進み、
松本日之春氏、前田守一氏に作曲を師事。
2000年に同大学を卒業した。在学中の
1999年には、京都・国際音楽学生フェスティバルにおいて、ロームミュージックファンデーションからの委嘱作品が初演されるなど、早くから才能を発揮した。
2002年には渡仏し、
フランス国立パリ高等音楽院作曲科に入学。国際的な環境でさらに研鑽を積んだ。同音楽院では、作曲をマルコ・ストロッパ氏、
電子音楽をルイス・ナオン氏、
楽曲分析を
ミカエル・レヴィナス氏といった錚々たる教授陣に師事し、幅広い視野を養った。この間、
2004年からは
文化庁新進芸術家海外留学研修員に選出され、国の助成を受けながら学んだ。
2006年には作曲科をトレ・ビアン(一等賞)の成績で卒業。また、サントル・アカントやロワイヨモンといった著名な音楽講習会にも参加し、自身の作品発表の機会を得ている。
パリ高等音楽院卒業後、
ジュネーヴ音楽院作曲科にも在籍。
ミカエル・ジャレル氏のもとで学び、2008年に最優秀の成績で修了。これにより、
フランス語圏における確固たる音楽的基盤を築いた。
受賞歴と作品
酒井健治氏は、その才能が高く評価され、国内外で数々の権威ある賞を受賞している。
京都市立芸術大学在学中には
音楽学部賞や京都音楽協会賞を受賞。卒業後も日本音楽コンクール作曲部門で複数回入選するなど、国内での評価を確かなものにした。
国際的な受賞としては、
2007年に
ジョルジュ・エネスク国際コンクール作曲(管弦楽)部門でグランプリを受賞したことが特筆される。さらに、
2009年には
武満徹作曲賞において『ヘキサゴナル・パルサー』で第1位を獲得。これは、日本の
現代音楽における若手
作曲家の登竜門ともいえる重要な賞である。2011年には、ベルギーで開催される
エリザベート王妃国際音楽コンクール作曲部門でグランプリを受賞。このコンクールは若手音楽家の登竜門として世界的に知られており、作曲部門での受賞は酒井氏の国際的な地位を不動のものとした。この受賞作品は『ヴァイオリンとオーケストラのための協奏曲』であり、後に
2013年の第23回
芥川作曲賞も受賞している。
その他の受賞歴には、Art Mentor Foundation Lucerne Award (
2010年)、Georges Wildenstein Prize (
2013年) などがあり、
2012年には
文化庁特別表彰を受けている。
2015年には若手
作曲家のためのメディチ荘滞在制度に選ばれている。
代表的な作品としては、上記の『ヘキサゴナル・パルサー』、『ヴァイオリンとオーケストラのための協奏曲』のほか、ロームミュージックファンデーション委嘱作品である『日本民謡によるパラフレーズ』、日本音楽コンクール入選作の『淀む時間の層状』、『忘却の記憶〜エドモン・ジャベス賛』、名古屋フィルハーモニー交響楽団と東京佼成ウインドオーケストラの共同委嘱による『デチューン 吹奏楽のための』などが挙げられる。これらの作品は、その独創性や表現力によって高く評価されている。
現在の活動
2014年以降は
アマティ音楽事務所に所属し、作曲活動を続けている。また、教育者としても後進の指導にあたっており、2023年からは母校である
京都市立芸術大学で准教授を務めている。2025年からは同大学の教授に就任予定であり、教育分野での更なる貢献が期待されている。
現代音楽界における重要な存在として、今後の創作および教育活動に注目が集まっている。