酒井弘樹

酒井 弘樹（さかい ひろき）

1971年9月22日生まれ、千葉県柏市出身の元プロ野球選手（投手）。引退後は高校野球部の監督として後進の指導にあたっている。

経歴

小学校1年生の頃に野球を始める。千葉県の強豪、関東第一高等学校に進学すると、2年生の夏にはチームのエースとして活躍。しかし、3年生の夏の大会前には急性肝炎を患い入院を余儀なくされ、無念のベンチ外となった。

高校卒業後、1990年に國學院大學文学部へ進学。当時東都大学野球連盟の2部リーグに所属していた同大学の硬式野球部に籍を置く。3年生となった1992年春季リーグ戦では、東京農業大学との試合で15奪三振を記録するなど好投。チームの2部優勝に貢献し、自身も2部リーグの最優秀投手に選ばれた。続く1部リーグとの入替戦でも、初戦での完封勝利や2戦目での救援登板など、獅子奮迅の活躍を見せ、チームを1部昇格へ導く原動力となった。

4年生の1993年春季リーグ戦では、開幕戦で駒澤大学を相手に延長15回を一人で投げ抜いて引き分けるなど奮闘。しかし、チームは最下位に終わり、再び東京農業大学との入替戦に臨むこととなる。この入替戦でも初戦と第3戦で先発し、第2戦でもリリーフとして登板するなど孤軍奮闘したが、チームは敗れ2部降格となった。大学1部リーグでは通算18試合に登板し4勝9敗、防御率3.80の成績を残した。2部リーグを含めた大学通算勝利数は13勝。4年生時にはドラフトの目玉として注目を集め、キューバとの対抗戦にも選ばれて好投を見せた。

プロ野球選手として

1993年度のドラフト会議において、近鉄バファローズから1位で指名（逆指名）を受け入団。背番号は「18」を背負った。

プロ入り後、1994年には一軍での初登板、初奪三振、初先発・初勝利を記録した。1995年シーズンには一軍に定着し、先発投手としてだけでなく中継ぎとしてもチームを支えた。9月14日のオリックス・ブルーウェーブ戦ではプロ入り初完投勝利を挙げ、相手チームの優勝決定を阻止するという印象的な活躍を見せた。

1996年シーズンは一年間を通じて先発ローテーションの一角を担い、チームトップの投球回で規定投球回数に到達。先発投手陣の中では最高の防御率3.30を記録し、リーグ9位にランクインするなど安定した投球を見せた。しかし、打線の援護に恵まれない試合が多く、8勝15敗で惜しくもリーグ最多敗戦投手となってしまった。この年にはプロ入り初完封勝利も記録している。

1997年シーズンはエースとしての活躍が期待されたが、故障に見舞われ開幕には間に合わなかった。7月にようやく先発ローテーションに加わったものの、不振から抜け出せず、わずか1勝に終わるなど苦しいシーズンとなった。

1998年シーズンは、故障からの復帰ながらリリーフに配置転換され、セットアッパーとしてフル回転。60試合に登板し、防御率1.97というキャリアでも屈指の好成績を収め、ブルペン陣の柱としてチームに貢献した。

1999年シーズンは再び故障に見舞われ、7月にはアメリカで左手首の腱を右肘に移植する大規模な手術を受けた。この影響で一軍での登板は自己最低の2試合にとどまった。

2000年シーズンには、キャンプ前の自主トレーニング中にサイパンで溺れていた少女を救助し話題となる。しかし、その翌日から始まった本キャンプでは守備練習中にぎっくり腰を発症し戦線離脱。梨田昌孝監督から冗談めかして「酒井は半年くらい（サイパンに）置いて帰る。ライフセーバーにでもするか」とコメントされるなど、本調子に戻るまで時間を要した。復帰後も不振が続き、この年は6試合の登板で防御率6.23と成績が低迷した。

同年オフ、平下晃司、面出哲志とともに、湯舟敏郎、山﨑一玄、北川博敏との交換トレードで阪神タイガースへ移籍。背番号は「16」に変更となった。しかし、阪神移籍後は二軍でも目立った成績を残せず、プロ入り後初めて一軍での登板機会がなかった。シーズン終了後に阪神から自由契約となった。

2002年には活躍の場を求めて台湾へ渡り、背番号「11」をつけてプレーしたが、ここでも満足な成績を残せず、シーズン途中で戦力外となり現役を引退した。

引退後の活動

現役引退後しばらくして、夫人の勧めもあり一念発起し、高校教員免許を取得するため母校である國學院大學文学部に再び入学した。無事高校教員免許を取得すると、高校教師としての道を歩み始める。

2007年4月からは名古屋経済大学高蔵高校に採用され、千葉県に家族を残して単身赴任で国語科の教員を務めた。同校はかつて女子校であり、2002年から共学となったものの当時はまだ野球部がなかったが、2009年に新たに野球同好会が発足する。また、当時プロ経験者がアマチュアの指導を行う際に定められていた「2年間はアマチュアでの指導ができない」という規定の期間が経過したこともあり、同好会が正式な野球部となるのに伴って、酒井氏が同校野球部の監督に就任した。限られた敷地の中で、テニスコート1面分を人工芝グラウンドに変えるなど工夫を凝らし、部員たちの指導にあたった。

しかし、2018年11月9日には、同校の野球部員である1、2年生の計12名に対して、携帯電話のルールが徹底されていないことを理由に、殴る蹴るなどの体罰を加えたとされる。この問題を受けて、同校は酒井監督を自宅謹慎処分とした。酒井氏は取材に対し、「したことを反省し、しかるべき処分を受けたい」と述べ、体罰の事実を認めている。同年12月18日、日本学生野球協会は酒井氏に対し、同年11月10日から1年間の謹慎処分を科す決定を下した。

この一件の後、2019年に同学園である名古屋経済大学へと異動。さらに2022年には、同じく学園内の名古屋経済大学市邨高校へ異動し、現在に至るまで教職・指導者として活動を続けているものと思われる。

詳細情報

年度別投手成績（NPB）
（割愛）
台湾での通算成績
11試合 2勝 5敗 2セーブ 防御率3.93

記録

初登板：1994年6月10日、対日本ハムファイターズ10回戦（東京ドーム）、7回裏2死に救援登板、1/3回無失点
初奪三振：1994年6月15日、対オリックス・ブルーウェーブ9回戦（藤井寺球場）、9回表に高橋智から
初先発・初勝利：1994年7月3日、対西武ライオンズ10回戦（西武ライオンズ球場）、6回2失点
初セーブ：1995年5月7日、対日本ハムファイターズ8回戦（藤井寺球場）、6回表に救援登板・完了、4回3失点
初完投勝利：1995年9月14日、対オリックス・ブルーウェーブ24回戦（グリーンスタジアム神戸）、9回1失点（自責点0）
初完封勝利：1996年7月26日、対日本ハムファイターズ17回戦（藤井寺球場）

背番号

18 （1994年 - 2000年） - 近鉄バファローズ
16 （2001年） - 阪神タイガース
11 （2002年） - 台湾球界

関連項目

千葉県出身の人物一覧
國學院大學の人物一覧
大阪近鉄バファローズの選手一覧
* 阪神タイガースの選手一覧

もう一度検索