重力単位系

重力単位系とは

重力単位系は、質量の代わりに重量（力）を基本単位として用いる、現在では非標準の単位系です。国際単位系（SI）やCGS単位系とは異なり、力の単位を基本とし、質量はそこから導き出されます。

定義

SIやCGS単位系では、力の単位は質量と長さの単位を時間の単位の二乗で割ったものとして定義されます。しかし、重力単位系では、ある質量に重力加速度が及ぼす力を基本単位とします。この質量は単位系には含まれません。

国際単位系との関係

SIでは、重力単位系の単位は採用されておらず、ほとんどの国で公式な計量単位としては使われていません。しかし、使い慣れている、直感的に理解しやすいなどの理由から、一部の分野では非公式に使用されています。

日本では、1999年10月以降、重力単位系に属する計量単位は法定計量単位ではなくなり、取引や証明に使うことが禁止されました。

力の単位

重力単位系での力の単位は、単位質量にかかる重力として定義されます。単位名称は質量の単位名称の前に「重量」または「重力」をつけ、後に「重」をつけることもあります。英語では、質量の単位名称の後に「-force」を付けます。例えば、重量グラムは「ポンド」とも呼ばれ、単位記号は質量の単位記号に「w」（weight）または「f」（force）を付けて表記されます。ただし、これらの記号は必ずしも国際的に通用するわけではありません。

以下に、重力単位系の力の単位と換算値を示します（標準重力加速度による）。

重量グラム (gf, p)：1 gf = 1 p = 9.80665 g·m/s² = 980.665 g·cm/s² = 980.665 dyn
重量キログラム (kgf, kp)：1 kgf = 1 kp = 9.80665 kg·m/s² = 9.80665 N
重量ポンド (lbf)：1 lbf = 196133/6096 lb·ft/s² = 196133/6096 pdl

質量の単位

重力単位系では、質量は力と加速度から導かれる単位です。

スラグ (slug)：ヤード・ポンド法における質量の単位で、1スラグは1重量ポンドの力によって1フィート毎秒毎秒の加速度が生じる質量です。約32.17405ポンドに相当します。
メトリックスラグ (metric slug)：メートル法のMKS重力単位系における質量の単位で、1メトリックスラグは9.80665キログラムに相当します。これはmug、TMEとも呼ばれます。

その他の単位

[圧力]]：力（重量キログラム）を面積（平方センチメートル）で割ったもので、[[工学気圧]という単位名称もあります。1 at = 1 kgf/cm² = 98.0665 kPa
エネルギー：力に長さをかけたもので、重力単位系では固有の名称は与えられていませんが、キロポンドメートル (kpm) が使用されることがあります。1 kpm = 1 kgf·m = 9.80665 J
仕事率（工率）：単位時間あたりのエネルギー消費量。かつてフランスでは、ポンスレ (pq) という単位が使われていました。1ポンスレは、100 kgの質量を1 m/sで持ち上げる仕事率と定義されます。仏馬力 (PS) はその3/4です。
1 pq = 100 kgf·m/s = 0.980665 kW
1 PS = 75 kgf·m/s = 0.73549875 kW

まとめ

重力単位系は、質量の代わりに重量を基本とする独特な単位系です。現在ではSI単位系が主流ですが、歴史的な背景や特定の分野では、依然として重力単位系の影響が見られます。この記事では、重力単位系の基本的な概念と単位について解説しました。

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