野口明 (教育者)

野口明：官僚、教育者、そして画家

野口明（のぐち あきら）は、1895年（明治28年）に東京で生まれ、1979年（昭和54年）に84歳で亡くなった日本の官僚・教育者です。彼は、お茶の水女子大学の初代学長を務めたことで知られていますが、その多岐にわたるキャリアは、官僚、教育者、そして画家という三つの側面を持っています。

生い立ちと教育

野口は、東京府東京市麹町区で、陸軍の獣医である野口次郎三の息子として生まれました。彼は、番町学校、旧制暁星中学校を経て、旧制第二高等学校（二高）を卒業し、1919年には東京帝国大学法科大学政治学科を卒業しました。この間、彼は法学と政治学の知識を深め、後の官僚としてのキャリアの基礎を築きました。

官僚としてのキャリア

大学卒業後、野口は文部省に入省し、高等文官試験に合格しました。長崎県や神奈川県で警務課長を歴任した後、文部省の本省に戻り、普通学務局の課長を歴任しました。1925年には、一木喜徳郎大臣の秘書官として宮内省に入省し、昭和天皇の即位後は侍従を務めました。二・二六事件の際には宮中に籠城したという記録もあります。その後、宮内省宗秩寮宗親課長を経て、1941年には帝室林野局管理部長に就任しました。この間、彼は行政官として多岐にわたる業務を経験し、国家の中枢で重要な役割を果たしました。

教育者としての転身

1943年、野口は教育界に転身し、旧制第二高等学校の校長に就任しました。戦後の1949年には、お茶の水女子大学の初代学長に任命され、女子高等教育の発展に尽力しました。1962年には、白梅学園短期大学の学長にも就任し、教育者としてのキャリアをさらに深めました。彼は教育者として、学生たちに幅広い知識と深い教養を伝え、次世代の育成に貢献しました。

その他の活動と晩年

野口は教育者としての活動の傍ら、画家としても活動しました。小林新や大下藤次郎に師事し、1979年には『野口明画集』を刊行しました。また、1971年からは社団法人日本弘道会の会長も務めました。晩年は千代田区六番町で暮らし、1979年9月3日に膀胱癌のため亡くなりました。

親族

野口の妻は篠田治策の長女である喜代子です。長女の民子は警察官僚の土田國保の前妻でしたが、土田・日石・ピース缶爆弾事件の犠牲者となり亡くなりました。二女の友子は、野口の二高時代の教え子で、後に都立広尾病院の院長となる杉浦昌也の妻となりました。弟には菌類学者の今関六也がいます。

著書と栄典

野口の著書には、『野口明画集』、『カムチャッカ訪問記』、『追憶の二高』などがあります。1940年には紀元二千六百年祝典記念章を受章しました。

まとめ

野口明は、官僚、教育者、画家として多才な顔を持ち、それぞれの分野で大きな足跡を残しました。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた一人の人物の偉業を示すとともに、後世に多くの教訓を残しています。彼の業績は、日本の近代史において重要な一部であり、今後も語り継がれていくことでしょう。

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