野山朝経

野山朝経（のやま ともつね）

野山朝経は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将であり、毛利氏の家臣として長州藩に仕えました。彼は備中国の国人である野山益朝の子として生まれ、激動の時代を生き抜きました。

生涯

朝経は備中国賀陽郡野山を本拠とする野山城主・野山益朝の子として誕生し、幼い頃から毛利氏に仕えました。天正10年（1582年）の備中高松城の戦い後、毛利氏と豊臣政権との間で行われた国境画定（中国国分）により、野山氏の所領である備中国賀陽郡が宇喜多氏に割譲されることとなり、野山氏は長門国へと移住しました。

天正19年（1591年）に母が亡くなり、文禄4年（1595年）7月9日には隠居して備中国に戻っていた父・益朝も死去しました。

慶長2年（1597年）から始まった慶長の役では、朝経も従軍して朝鮮半島に渡り、同年12月22日から慶長3年（1598年）1月4日にかけて行われた第一次蔚山城の戦いにおいて、その武勇を発揮し武功を挙げました。この功績により、第一次蔚山城の戦いで功績のあった毛利氏家臣を賞した慶長3年（1598年）1月25日付の豊臣秀吉の朱印状に、朝経の名（野山清右衛門尉）も記されることとなりました。

慶長10年（1605年）12月14日、同年の五郎太石事件の後、毛利氏家臣団や寺社の総勢820名が連署して毛利氏への忠誠や様々な取り決めを記した連署起請文において、朝経は191番目に「野山清右衛門尉」として署名しています。この署名は、彼が毛利家臣団の一員として重要な役割を担っていたことを示唆しています。

没年は定かではありませんが、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦い後、毛利氏が周防国と長門国に減封されてから、約30年ほどで家は断絶したと伝えられています。これは、時代の変化とともに、武士の家が没落していく様子を物語っています。

野山朝経は、戦国時代から江戸時代初期にかけての激動の時代を、毛利氏家臣として忠実に生きた武将でした。彼の生涯は、戦国武士の生き様を今に伝える貴重な歴史の一片と言えるでしょう。

参考文献

東京帝国大学文学部史料編纂所 編『大日本古文書 家わけ第8-3 毛利家文書之三』東京帝国大学、1922年12月。
東京帝国大学文学部史料編纂所 編『大日本古文書 家わけ第8-4 毛利家文書之四』東京帝国大学、1924年8月。
* 賀陽町教育委員会 編『賀陽町史』賀陽町、1972年7月。

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