野方遺跡

野方遺跡の概要

福岡県福岡市西区にある野方遺跡（のかたいせき）は、弥生時代後期及び古墳時代前期に相当する複合的な遺跡です。1975年6月27日には国の史跡に指定され、その重要性が認められています。该遺跡は、早良平野の西端に位置し、脊振山地の北東部にあたる叶岳の東麓に展開した扇状地に位置しています。この地区は、伊都国や奴国の中心地と考えられている場所の中間に位置し、古代の交通の要所としても機能していたと言われています。

発見と発掘調査

野方遺跡は1973年に高校生によって発見され、その翌年から福岡市教育委員会による本格的な発掘調査が行われました。この調査では、遺跡の中央部において21,130.63平方メートルもの範囲が国の史跡として指定され、さまざまな遺構が明らかになりました。

遺構の特徴

発掘された遺構は、大小2種類の環濠を含む集落跡です。約100メートルの長径を持つ大きな環濠と、25から30メートルの一辺を持つ小さな環濠が確認され、これらを囲むように94棟の竪穴建物跡が発見されました。また、さまざまな葬制の形態が確認されており、甕棺墓や土坑墓、木棺墓、さらには箱式石棺墓も数多く見つかっています。

弥生時代の環濠集落では、大きな環濠の内部において約10棟の竪穴建物が建てられ、小さな環濠内には高床建物があったとされています。出土した遺物には、土器や石器、鉄器に加え、貝や魚の骨、獣の骨などがあり、当時の人々の生活様式を垣間見ることができます。古墳時代には、弥生時代の環濠が埋められ、新たに約100棟の竪穴建物が建てられ、建物と墓地が分かれた集落が形成されたと推測されています。

さらに、古墳時代の墓地からは、中国製の獣帯鏡や内行花文鏡、鉄刀、管玉、ガラス玉などの副葬品が出土しました。これにより、当時の交易や文化的交流の様子も伺い知ることができます。

野方中央公園としての整備

遺跡発掘後、1989年から公園整備が始まり、1991年に「野方中央公園」として開園しました。ここでは環濠跡の復元が行われ、訪れる人々に歴史を感じさせる場所となっています。公園内には「野方遺跡住居跡展示館」も設置され、発掘された建物跡や出土品が展示されています。残念ながら、当初復元された2棟の竪穴建物は1994年に不審火によって焼失しましたが、その後も公園として地域に親しまれています。

アクセス

訪問する際は、西鉄バス「野方遺跡前」バス停からのアクセスが便利です。自然豊かな公園で歴史に触れることができるこの場所は、多くの人々にとって貴重な学びの場となっています。

もう一度検索