野谷村

野谷村の歴史と文化

野谷村（のだにそん）は、かつて岡山県御津郡に存在していた自治体です。この村は1900年、明治時代の変革の頃に姿を消しましたが、地域の歴史や文化は今も人々の記憶に留まっています。

村の名称の由来

村名は、当時の菅野（スガノ）という地区の「野」と、栢谷（カヤタニ）という地区の「谷」から名付けられた合成地名です。この地は、歴史的には備前国津高郡に属し、平安時代の後期には津高庄に含まれたとされています。その後、名門の宇喜多氏や小早川秀秋らの支配を経て、岡山藩の領地域となりました。

村の発展と農業

明治維新時には、村内には栢谷村、益田村、辛香村、菅野村の4つの村落が存在しました。栢谷村では、1875年に地元出身の山内善男と大森熊太郎が解放された官有林を開墾し、荒れる土地でのブドウ栽培に挑戦しました。この取り組みは後に成功し、ガラス温室を建設し本格的なブドウ栽培が始まりました。今日では、マスカット・オブ・アレキサンドリアの一大生産地として知られています。また、苫田という地区には栢谷温泉と呼ばれる冷泉が湧出し、再開発が進むことで苫田温泉と名付けられました。

菅野村は、かつては東菅野村と西菅野村が存在し、それぞれ独立した村でありましたが、いつの頃からか西菅野村は枝村となりました。益田村は吉宗村として知られていましたが、享保元年に第8代征夷大将軍となった徳川吉宗の名前を避けるために改称されました。

村の沿革

野谷村の形成は、明治4年に益田村が再び吉宗村へ改称されたことから始まります。1875年には、菅野村と辛香村が合併し、菅野村として再編されました。1883年には連合戸長役場制度が導入され、津高郡第六部戸長役場が栢谷村に設置されるなど、行政体制が整備されていきました。1890年には町村制が施行され、栢谷村、吉宗村、菅野村の合併により野谷村が設立されます。

1900年には津高郡と御野郡が統合され、御津郡が誕生しました。その後、1953年には隣接する御津町の一部を編入し、1955年には馬屋上村と合併して津高村が発足。これにより野谷村はその歴史に終止符を打ちました。

教育と交通

野谷村には、学校組合立の野谷小学校（現・岡山市立野谷小学校）と香和中学校（現・岡山市立香和中学校）があります。教育機関は地域の発展に寄与してきました。また、交通面では、村域にある旧作州街道が1887年に平地に移され、現在の岡山市道伊島町二丁目吉宗線として利用されています。

出身者

野谷村からは坂野鉄次郎という著名な逓信官僚・貴族院議員が生まれています。彼は1873年に東菅野で生まれ、1952年にその生涯を全うしました。

まとめ

野谷村は、豊かな歴史と文化を有する地域であり、その変遷は岡山県の歴史を知る上でも重要な要素となっています。地域の人々の生活と文化は、今もなお村の名残として息づいています。

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