金丸鉄

金丸鉄（かなまる まがね）は、1852年に豊後国杵築藩（現在の大分県杵築市）に生まれ、1910年に58歳で亡くなった日本の法学者です。彼は、法政大学の前身である東京法学社の創立者の一人として、日本の法学教育に大きな足跡を残しました。

生い立ちと上京

金丸鉄は、杵築藩士の家に生まれました。19歳で上京し、法律の世界へと足を踏み入れます。上京後、金丸は独力で出版社「時習社」を設立し、1877年には日本初の法律専門雑誌『法律雑誌』を創刊しました。この雑誌は、当時の法曹界に大きな影響を与えました。

東京法学社の設立

金丸は、法律雑誌の創刊を通じて、元田直という人物と親交を深めます。元田は浅草で法律学舎を開いており、金丸に大きな影響を与えました。元田の紹介で、代言人（現在の弁護士）の伊藤修、薩埵正邦と知り合い、彼らと共に東京法学社の設立に尽力しました。東京法学社は、1879年に設立され、後の法政大学へと発展します。金丸は、法学教育の発展に貢献するとともに、多くの法律家を育てました。

法曹界での活躍

東京法学社設立後、金丸は大阪府で弁護士を開業しました。1886年には大阪府会議員に当選し、府会で『箕面公園新設の議』を提出、箕面公園の開設にも尽力しました。政治の世界でも、金丸は活躍し、立憲自由党に所属し、1894年には第3回衆議院議員総選挙に大阪第5区から出馬しますが、惜しくも落選しました。

平民主義と華族廃止論

金丸鉄は、平民主義を強く主張し、華族制度の廃止を唱えていました。彼は、すべての人が平等であるべきだと考え、社会の民主化を訴えました。金丸の思想は、当時の社会に大きな影響を与えました。

その後と顕彰

金丸は、1899年には大日本労働協会関西支部長、1900年には大阪東区連合区会議長に就任するなど、様々な分野で活躍しました。彼の功績を称え、大分県杵築市の城山公園には、金丸と伊藤修のレリーフが刻まれた法政大学創立者顕彰碑が設置されています。金丸鉄は、法学教育の発展だけでなく、社会の民主化にも大きく貢献した人物として、後世に語り継がれています。

参考文献

法政大学イノベーション・マネジメント研究センター・洞口治夫編『大学教育のイノベーター 法政大学創立者・薩埵正邦と明治日本の産業社会』（書籍工房早山、2008年）ISBN 978-4886115102
越山鬼城 著『近畿弁護士評伝』（潜竜館、1900）
* 法政大学百年史編纂委員会 『法政大学百年史』 法政大学、1980年

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