金剛寺 (河内長野市)

天野山金剛寺：歴史と文化が息づく「女人高野」

金剛寺は、大阪府河内長野市天野町に位置する真言宗御室派の大本山であり、天野山という山号を持ちます。本尊は大日如来で、新西国三十三箇所第7番札所にもなっており、千手観音を祀る五仏堂があります。

歴史

金剛寺の創建は古く、寺伝によればインドのアショーカ王が投げた鉄塔がこの地に落ちたことが起源とされます。奈良時代には聖武天皇の勅願により行基が開基し、弘法大師も修行したと伝えられています。

南北朝時代の重要な拠点

南北朝時代には南朝の最重要拠点の一つとなり、後醍醐天皇によって勅願寺に指定されました。後村上天皇の行宮が置かれた時期もあり、南朝の中心地として重要な役割を果たしました。また、文観房弘真が入滅した地としても知られています。

「女人高野」としての役割

高野山が女人禁制であったのに対し、金剛寺は女性の参詣を許可していたため、「女人高野」として広く知られるようになりました。平安時代末期には、後白河上皇や八条院の帰依を受け、女性の参詣者が多く訪れました。

境内

境内には、日本最古の多宝塔をはじめ、数多くの文化財が点在しています。これらの建造物は、平安時代から江戸時代にかけて建立・再建されたもので、各時代の建築様式や美術工芸の粋を集めたものとして、非常に価値が高いです。

主な伽藍

金堂（重要文化財）：元応2年（1320年）再建。本尊の金剛界大日如来坐像、不動明王坐像、降三世明王坐像を安置。
多宝塔（重要文化財）：平安時代後期の建立。日本最古の多宝塔。
五仏堂（重要文化財）：慶長年間（1596年 - 1615年）に豊臣秀頼により再建。千手観音を祀る。
その他：経蔵、宝蔵、薬師堂、求聞持堂、御影堂など、多数の重要文化財。

文化財

金剛寺には、建造物のほかにも、仏像、絵画、工芸品、書跡・典籍など、数多くの文化財が所蔵されています。これらの文化財は、日本の仏教美術や歴史を研究する上で、貴重な資料となっています。

国宝

木造大日如来坐像、木造不動・降三世明王坐像
紙本著色日月四季山水図

重要文化財（建造物）

楼門、金堂、御影堂、多宝塔、食堂、鐘楼、五仏堂、薬師堂、閼伽井屋、護摩堂、法具蔵、求聞持堂、開山堂、宝蔵、経蔵、弁財天社本殿、八大龍王善女龍王社本殿、天照皇大神社本殿、築地塀、鎮守水分明神社本殿、鎮守丹生高野明神社本殿、鎮守社拝殿、鎮守社鐘楼、旧理趣院表門、旧真福院表門、南門、総門、摩尼院、書院、表門

近年

近年では、奥河内の観光地の一つとして、また大阪みどりの百選にも選定され、多くの観光客が訪れています。日本遺産『中世に出逢えるまち 〜千年にわたり護られてきた中世文化遺産の宝庫〜』の構成文化財の一つでもあります。

所在地・アクセス

所在地：大阪府河内長野市天野町996
アクセス：南海バス天野山線「天野山」バス停下車すぐ

金剛寺は、豊かな自然に囲まれた静かな場所にあり、歴史と文化に触れることができる魅力的な寺院です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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