金城
ダムは、
沖縄県那覇市に位置する、二級河川・
安里川に建設された
洪水調節を目的とする
ダムです。この
ダムの特徴は、上流部にある上池と下流部にある下池という二つの貯水池を、トンネルで連結している点です。この構造は、上池と下池の間にある県指定文化財のヒジ川橋と石畳道を保存する必要があったことと、単一の貯水池では十分な貯水量を確保できなかったという二つの理由によるものです。また、最高水位はヒジ川橋が水没しないように慎重に設計されています。
ダムの運用は、手動によるゲート操作は行わず、放水口からの自然流出による流量調整によって
洪水調節が行われる仕組みです。
ダムの基礎部分は、掘削に対して不安定な島尻層泥岩で構成されています。そのため、
ダムの安定性を確保するために、格子状の地中壁からなる小ブロックを基盤地層に食い込ませています。さらに、島尻層泥岩は地滑りを起こしやすい性質を持つため、貯水池周辺の斜面には最長28
メートルにも及ぶ多数のアンカーが打ち込まれ、地盤の補強が施されています。
金城
ダムは、
那覇市街地に位置し、
首里城と
識名園を結ぶ場所にあります。そのため、周辺整備では「水と緑と石造り」をテーマとして、景観に配慮した設計がなされています。斜面には緑地帯や遊歩道、休憩施設が設けられ、市民の憩いの場として利用されています。また、
ダム本体の表面には
琉球石灰岩のプレートが石垣のように貼り付けられ、水際部分には土が盛られ、水生植物が植えられています。
安里川は、
那覇市街地を流れる中で中流部の川幅が狭く蛇行しているため、過去に何度も氾濫を起こしていました。特に1961年の台風23号では、死者4名、全壊家屋67戸、半壊家屋186戸という甚大な被害が発生しました。しかし、
安里川の流域は住宅密集地であったため、川幅を広げる改修は困難でした。そこで、上流部に
洪水調節用の
ダムを建設することになりました。この場所に、以前は
沖縄県農業試験場へ水を供給するための金城
ダム(堤高14.5
メートル、堤頂長80
メートルの
アースダム)がありましたが、撤去され、新たに金城
ダムが建設されることとなりました。
調査は1977年に開始され、
1988年に上池が、1991年に下池と
ダム本体の工事が始まりました。工事はおおむね1999年12月に完了し、試験湛水が開始されました。そして、
2001年2月13日に竣工式が行われました。総事業費は305億円となっています。
金城
ダムは、その景観と機能性から、地域住民にとって重要な存在となっています。また、
ダムの建設過程や技術的な取り組みは、貴重な記録として映像作品にもまとめられ、公開されています。
関連項目
ダム
日本の
ダム
重力式コンクリート
ダム
参考文献
沖縄県土木建築部
沖縄県ダム事務所監修 『金城
ダム工事誌』
2001年
外部リンク
金城
ダム関連映画作品 -
沖縄県YouTube内公式アカウントより
『金城
ダム-建設記録総集編-』
『島尻泥岩に挑む-金城
ダム施工記録-(技術編)』
『島尻泥岩に挑む-金城
ダム建設12年の足跡(一般向け)』