金子城

金子城（かねこじょう） - 愛媛県の戦国時代の名城

金子城、または金子山城は、愛媛県新居浜市に位置していた戦国時代の日本の城です。別名では橘江城とも呼ばれ、新居浜市の指定史跡として知られています。この城は、標高80メートルの金子山の山頂に築かれており、その地形は天然の防御に優れています。西側には侵食谷が形成され、北と東の側は急峻な斜面になっていて、外敵からの攻撃に対する防御に役立っていました。

現在、金子城の遺構は滝の宮公園に変わっており、曲輪や堀切の一部が残されていますが、過去には高度に発展した城郭であったことが伺えます。金子城の築城年代や築城者の特定は難しいものの、桓武平氏村山党の一族である金子氏の活動が関連していることが考えられます。金子氏はもともと武蔵国入間郡の金子郷を治めており、その後、伊予に移住したと推測されています。

金子氏の歴史は弘安5年（1282年）に始まり、金子頼広が新居郷の地頭職に任命されていました。その後、南北朝時代には金子康弘が細川氏とともに生子山城を攻略したことが記録されています。これらの情報から、金子城は少なくとも南北朝時代には存在していたことが確認されます。

戦国時代には、金子元成や金子元宅の時代に、金子氏はその勢力を拡大し、新居郡だけでなく、近隣の宇摩郡でも支配力を持つようになりました。彼らは土佐国の長宗我部元親と和議を結び、領地を安堵されるなどの活動を経て、地域の実質的支配者となっていました。しかし、天正13年（1585年）に羽柴秀吉が四国征伐を開始すると、状況は一変しました。毛利氏一族の小早川隆景の軍が新居・宇摩郡に侵攻し、金子元宅は高尾城を拠点に抵抗を試みるものの、野々市原の戦いにて戦死してしまいます。

金子城は元宅の弟たちによって最後まで守られましたが、結局同年の7月に落城し、金子氏は300年以上にわたる支配の歴史に幕を下ろしました。その後、金子城は再建されることはなく、現在では滝の宮公園として整備されています。市民の憩いの場となる一方で、昭和後期には復元の構想も立てられましたが、再現された天守が江戸時代の様式とは異なっていたため、歴史研究者からの批判を受けて実現には至りませんでした。最終的には金子城跡は1978年（昭和53年）に新居浜市指定史跡として認定されています。

金子城について知ることは、戦国時代の日本の歴史や地元の文化理解にとって重要な手がかりとなります。そして現在、滝の宮公園はその城跡を訪れる人々にとって、歴史を感じることができる貴重な場所となっています。

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