金朝興

金朝興（きん ちょうこう）

金朝興は、生年不詳ながらも1382年にその生涯を閉じた、元末明初の軍人です。本貫は無為州巣県にあります。

生涯

元末の混乱期に、淮西で反乱が起こると、金朝興は自ら人々を集めて砦を築き、自衛の態勢を整えました。その後、兪通海らが朱元璋に帰順すると、金朝興もまた自らの勢力を率いてこれに合流しました。朱元璋に従い長江を渡り、数々の戦に参加し、目覚ましい功績を挙げました。

常州攻略戦では、先鋒を務め、宜興奪回戦では左翼副元帥として活躍しました。武昌平定後には龍驤衛指揮同知に昇進、張士誠平定後には鎮武衛指揮使に任命されました。さらに、大同攻略戦での功績により大同衛指揮使に転任、東勝州を奪取した際には、元の平章である劉麟を含む18人を捕虜とするという大きな戦果を挙げました。

1370年、洪武帝は金朝興の功績を認め、都督僉事兼秦王左相に任命しました。その後、都督府事を解任され、秦王朱樉の傅（教育係）を任されました。1371年には、傅友徳らの遠征に従軍し、夏の攻略戦に参加しました。1374年には軍を率いて黒城に到達し、元の太尉盧伯顔や平章帖児不花など、25名の高官を捕らえました。さらに、李文忠に従い東道の兵を率いて、カラコルムを奪取しました。

金朝興は、沈着冷静で勇敢な人物であり、優れた知略を備えていました。偏師を率いて各地で勝利を重ねましたが、大軍を率いることはありませんでした。しかし、その功績は他の将軍たちを凌駕するものでした。1378年、沐英に従い西征し、納鄰七站の地を確保しました。翌年には、その功績が認められ宣徳侯に封じられ、指揮使の地位を世襲することが許されました。

1382年、傅友徳に従い雲南遠征に参加し、臨安に軍を進駐させました。この戦いでは、元の右丞である兀卜台、元帥の完者都、そして現地の首長である楊政らが降伏しました。会川に宿営中に亡くなり、死後、沂国公を追贈され、武毅と諡されました。1384年、雲南平定における功績を改めて評価され、世侯券が授与されました。

金朝興の長男である金鎮が宣徳侯の地位を継承しました。しかし、1390年に金朝興が、生前に胡惟庸の党とされたことから、金鎮は平壩衛指揮使に降格されました。その後、金鎮は征討に従軍して功績を挙げ、都指揮使に進み、後に世襲衛指揮使となりました。1522年には、雲南に金朝興の廟が建立され、「報功」と記された額が掲げられました。

人物評

金朝興は、智略に長け、沈着冷静で勇敢な人物であったと評されています。偏師を率いることが多かったにも関わらず、各地で勝利を重ねたことから、その軍事的才能の高さが窺えます。大軍を率いる機会は少なかったものの、その功績は他の将軍たちよりも抜きん出ていました。明朝の建国と領土拡大に大きく貢献した人物と言えるでしょう。

参考文献

『明史』巻131 列伝第19

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