釜石製鐵所山神社

釜石製鐵所山神社について

釜石製鐵所山神社（かまいしせいてつしょさんじんじゃ）は、岩手県釜石市に位置する、日本製鉄釜石製鉄所の守護神社として知られています。一般には「山神社」とも呼ばれ、その歴史は深いものがあります。この神社は、1894年に初出銑時に使用されたコークス銑で作られた鉄製扁額を持ち、市の有形文化財として指定されています。さらに、釜石には複数の山神社やその跡が存在することが考えられています。

神社の歴史

この神社の起源は官営製鉄所の時代にまで遡ります。当初、八幡館に祀られていた八幡神社は町から遠距離に位置していたため、唐波（河原波）に遷座されました。この移転が、釜石製鐵所山神社の成立の基となりました。その後、神社は平山へと移動しましたが、火災によって焼失してしまいます。それを受けて、神社は大高炉沢に再度遷座しましたが、工場の拡張により1919年5月には鈴子公園に移設され、その後1963年7月に小川町へ移転し、現在の桜木町一丁目に存在しています。

1917年には、釜石鉱山田中製鉄所の創業30周年を記念して鉱主の田中家から桜、桃、梅、松、杉の苗木が寄贈されました。これらの木々は神社の周囲に植えられ、毎年美しい花を咲かせています。また、赤銅の屋根を持つ社殿も田中家から寄贈されたもので、東京都神田区黒門町に在住する工匠、宮惣によって日本建築の技術が駆使されて制作されました。

例祭行事

釜石製鐵所山神社は、1967年より尾崎神社と合同で釜石まつりを行っています。この祭りは、毎年10月の第3日曜日を含む金・土・日に開催され、中日には尾崎半島にある尾崎神社本宮から船で市内の里宮へ神体が運ばれます。釜石港内では、虎舞や神楽、そして各種の船が大漁旗を掲げてパレードを行います。最終日には、虎舞や神楽、山車、手踊りに加え、両神社の神輿が市内目抜き通りを渡御する様子が見どころとなります。

文化財に指定された扁額

2012年11月28日、この神社の鉄製扁額が釜石市から美術工芸品として有形文化財に指定されました。サイズは縦747mm、横1187mm、厚さ39mmで、1894年に日本初の「コークス銑」を使用して鋳造されたものです。「山神」という文字は、当時の技師長で工学博士の香村小録によって揮毫されており、そのほかにも村井源兵衛や中島宣らが関与しています。この扁額を鋳造した際に、職員への安全祈願として同様の材料で恵比寿大黒天の置物も制作されました。

その他の山神社の遺跡

釜石地域には他にも山神社が存在したことが知られています。例えば、安政年間に建設された橋野高炉で働く人々のための安全祈願として建立された橋野高炉の山神社がありましたが、後に廃止され、その遺構は熊野神社に移されました。また、栗橋分工場に移転した山神社も、1921年まで盛大な祭典が行われ、その後様々な遺構が確認されています。

交通アクセス

釜石製鐵所山神社へのアクセスは、釜石線の小佐野駅から徒歩約12分、三陸縦貫自動車道の釜石中央ICからは車で約3分です。訪れる際は、これらの交通手段を利用すると便利です。

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