鉄原郡

鉄原郡について

鉄原郡（チョルォンぐん、てつげんぐん）は、朝鮮半島の中央部に位置する郡です。この地域は、歴史的には江原道に属し、現在は軍事境界線を挟む形で、韓国の江原特別自治道と北朝鮮の江原道にそれぞれ同名の勤務区域があります。これにより、鉄原郡は南北に分断された歴史的背景を抱えています。

地理

鉄原郡は、朝鮮八道の江原道中西部に位置し、京畿道との境界にも接しています。この地区には、鉄原平野と呼ばれる限られた平野があります。平野は高い山々に囲まれた溶岩台地であり、穏やかな地形と水源の豊富さから穀倉地帯として発展してきました。また、鉄原郡は朝鮮半島を横断している軍事境界線の真ん中に立地しており、周辺地域は開発が進まなかったため、多くの渡り鳥が集まる場所としても知られています。

気候

この地域は、北朝鮮との国境に近いため、韓国では最も厳しい寒さが特徴です。冬季には気温が－20度を下回ることがあり、非常に冷え込みます。具体的な極値は、最高気温が38.4℃（2018年8月1日）、最低気温が-29.2℃（2001年1月16日）となります。

歴史

鉄原郡の古代の歴史は高句麗に遡り、当時は鉄円または毛乙冬非と呼ばれていました。統一新羅時代には景徳王によって鉄城という名前に改称され、その後新羅末の動乱期には弓裔がこの地を首都にしました。その後、高麗が設立される際、鉄原と呼ばれるようになり、その後は東州という名称に変わりました。朝鮮王朝時代からは、鉄原に都護府が設置され、江原道の行政中心になっていました。

植民地時代には京元線が通り、鉄原駅は金剛山電気鉄道が分岐して金剛山観光の重要な拠点とされました。また、鉄原には京城地方法院や鉄原中学、鉄原高女、鐘紡の工場があり、行政、交通、農商工業の中心地として賑わっていました。

日本の敗戦後、この地域は38度線の北側となり、ソ連軍による統治が実施されました。朝鮮戦争では、特に鉄原・金化・平康を結ぶ地域が「鉄の三角地帯」と呼ばれ、両陣営が有利な地位を求めて激しい戦闘が繰り広げられました。休戦後、軍事境界線により鉄原郡は南北に分かれ、それぞれの地域で再編成が行われました。

韓国側では、鉄原の旧中心部が激戦によって廃墟と化したため、離れた場所に新たに鉄原の名を持つ町が復興されています。廃墟となった鉄原駅の跡地には、昔の鉄原を思わせる看板が設置されており、かつての賑わいをしのぶことができます。

年表

• - [新羅時代] - 鉄城と称する
• - [新羅末] - 弓裔が都を置く
• - [918年] - 鉄原に改称
• - [1018年] - 東州に改名
• - [1254年] - 州から県に降格
• - [1310年] - 鉄原府に復す
• - [1412年] - 都護府とする
• - [1444年] - 京畿道から江原道に移される
• - [1895年5月26日] - 春川府鉄原郡となる（二十三府制）
• - [1896年8月4日] - 江原道鉄原郡となる
• - [1914年4月1日] - 京畿道朔寧郡乃文面、寅目面、馬場面が鉄原郡に編入され、鉄原郡が成立
• - [1917年3月1日] - 西辺面が鉄原面に改称
• - [1931年4月1日] - 鉄原面が鉄原邑に昇格（1邑9面）
• - [1945年8月15日] - ソ連軍管理下に置かれる

このように、鉄原郡は自然環境や歴史の深さが魅力的な地域であり、南北分断による特異な体験を乗り越えた今も、多くの人々にその価値が伝えられています。

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