鉄砲町 (名古屋市)

鉄砲町（てっぽうちょう）

鉄砲町は、かつて愛知県名古屋市中区に存在した地名です。1966年（昭和41年）3月30日に、栄二丁目と栄三丁目に編入される形で消滅しました。現在ではその名前は使われていませんが、名古屋の歴史を語る上で重要な地名の一つです。

地名の由来

鉄砲町の名前は、慶長年間に清洲越し（清洲から名古屋への都市移転）に伴い、鉄砲師たちがこの地に移り住んだことに由来するとされています。当時、鉄砲は重要な武器であり、その製造や修理を行う職人たちの存在は、都市の発展に欠かせないものでした。しかし、その後、鉄砲師たちは当地を離れ、御園町大下へと移っています。

歴史

江戸時代

鉄砲町は、名古屋城下の町として発展しました。慶長年間に鉄砲町と中須賀口町が成立し、中須賀口町は清洲時代には須賀口と呼ばれていました。その後、元和年間には大久保見町が成立します。大久保見町という地名は、地形がくぼんでいたことに由来するとされています。

1654年（寛文5年）には、中須賀口町が中須賀町と改称されました。これらの地名は、当時の町の様子を今に伝える貴重な手がかりとなっています。

明治時代以降

明治時代に入ると、町の行政区画にも変化が見られました。明治4年には、町域の一部が玉屋町に編入され、同時に中須賀町と大久保見町が鉄砲町に編入されました。1878年（明治11年）12月20日には、名古屋区の成立に伴い、鉄砲町は名古屋区鉄砲町となりました。その後、1889年（明治22年）10月1日には名古屋市成立に伴い、名古屋市鉄砲町となりました。

近代

1908年（明治41年）4月1日には中区成立に伴い、中区鉄砲町となり、1944年（昭和19年）2月11日には栄区成立に伴い、栄区鉄砲町となりました。しかし、1945年（昭和20年）11月3日には栄区が廃止されたため、再び中区鉄砲町に戻りました。

1963年（昭和38年）3月20日には中区白川町の一部を編入し、その面積をわずかに広げました。しかし、その後の区画整理により、1966年（昭和41年）3月30日には栄二丁目と栄三丁目に編入され、鉄砲町という名前は地図から消えることになりました。

鉄砲町にゆかりのある人物

鉄砲町には、歴史に名を残す人物もいました。

笹屋岡谷惣助: 詳細な情報は不明ですが、この地で活躍した人物の一人です。
神野金之助 (2代目): こちらも詳細な情報は不明ですが、この地にゆかりのある人物です。

鉄砲町の施設

鉄砲町には、様々な施設が存在しました。

遊郭: 明暦年間の禁止まで、広小路筋と蒲焼町筋の間の旅籠屋町と称する小路には遊女が置かれた遊郭がありました。この地域が、かつて賑わいを見せていたことを示しています。
牢屋敷: 広小路筋には牢屋敷も存在しました。これは、当時の社会制度を示すものでもあります。
寺院: 柳薬師新福院、修験良宝院、浄土真宗本願寺派長円寺などが存在しました。これらの寺院は、地域住民の心の拠り所でした。
北浜銀行名古屋支店: 近代には北浜銀行の支店も置かれ、経済的な中心地としての側面も持っていました。

まとめ

鉄砲町は、その名前の由来から歴史、そしてそこで暮らした人々や施設に至るまで、名古屋の歴史を語る上で欠かせない要素を多く含んでいます。現在はその名前こそありませんが、その歴史は今もなお語り継がれています。この地を訪れる際には、かつてここに存在した鉄砲町の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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