鉱業権

鉱業権とは

鉱業権とは、特定の鉱物を探査（試掘）、開発、生産し、その結果得られる鉱物を取得・処分する権利のことです。この権利は、地下資源の開発において非常に重要な役割を果たします。

具体的には、鉱業権には試掘権と採掘権の2種類があります。試掘権は、鉱床の存在や埋蔵量を確認するための調査を行う権利であり、採掘権は、実際に鉱物を採掘し、取得する権利です。

日本における鉱業権

英米法においては、鉱業権は土地所有権の一部として扱われることが多いのですが、日本では大陸法系の考え方が採用されており、鉱物は原則として国の所有物とみなされています。そのため、日本の鉱業法では、土地の所有権とは別に、鉱業権という独立した権利が認められています。したがって、たとえ土地の所有者であっても、鉱業権を持たずに鉱物を採掘することは違法行為となります。

日本の鉱業法第5条では、鉱業権は、登録された一定の土地の区域（鉱区）において、登録された鉱物および同種の鉱床中に存在する他の鉱物を掘採し、取得する権利と定義されています。この権利の詳細な規定は鉱業法によって定められています。

鉱業権者

鉱業権者となることができるのは、原則として日本国民または日本法人に限られています（鉱業法第17条）。これは、日本の鉱物資源の開発を国内主体に限定することで、資源の安定的な確保を図るためと考えられます。

鉱業権の設定は、経済産業大臣への出願と許可が必要であり、先に申請した者に権利が与えられる先願主義が採用されています（鉱業法第21条）。

鉱業権の種類

鉱業権には、前述の通り、以下の2種類があります（鉱業法第11条）。

1. 試掘権: 鉱床の存在や埋蔵量を確認するための調査を行う権利です。この権利を得ることで、鉱物の商業的な採掘が可能かどうかを判断するための探査活動が行えます。
2. 採掘権: 実際に鉱物を採掘し、取得する権利です。試掘の結果、採掘が可能と判断された場合に、採掘権が設定されます。

鉱業権の性質

鉱業権は、物権（特定の物に対する直接的な支配権）とみなされ、鉱業法に特別な規定がない限り、不動産に関する規定が準用されます（鉱業法第12条）。これは、鉱業権が土地や建物と同様に、財産としての価値を持つことを意味します。

また、鉱業権は、相続や譲渡、滞納処分、強制執行、仮差押え、仮処分の対象となります。ただし、権利の目的とはなり得ません。例外的に、採掘権は抵当権や租鉱権の設定の対象とすることができます（鉱業法第13条）。

鉱業権に関する補足

• - 鉱業権の設定や管理に関する詳細な手続きは、鉱業法に定められています。
• - 鉱業権は、資源開発における重要な権利であり、その取得や行使には法律に基づく厳格な規制があります。
• - 鉱業権に関する情報は、経済産業省のウェブサイトや関連書籍で確認できます。

関連情報

• - 鉱業法
• - 『鉱業権』 - コトバンク
• - 『採掘権』 - コトバンク

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