銀楯隊

銀楯隊とは

銀楯隊（ぎんじゅんたい）、またはアルギュラスピデス（Αργυράσπιδες）は、古代マケドニア及びその後継国家における歩兵部隊として知られています。この部隊の特徴は、銀の薄板で装飾された盾と胸甲を備えた精鋭3000人の兵士たちで構成されていたことから、その名が付けられました。元々はヒュパスピスタイと呼ばれる近衛歩兵部隊で、戦国時代の中でも特に精強な部隊としての地位を確立していました。

歴史的背景

銀楯隊はパルメニオンの子ニカノルによって指揮され、当初の軍の指揮権がペルシア側に渡った際に「銀楯隊」と改名されました。この転換はアレクサンドロス大王の東征における戦略的な決定のひとつであり、彼らの戦闘能力はその後の戦いでも発揮されました。アレクサンドロス3世が亡くなった後、トリパラディソスの軍会においてはスシアナ太守アンティゲネスおよびテウタモスの指揮下に入ることとなります。

出自と役割を考慮しても、銀楯隊の兵士たちは多くが60歳を超えた高齢者でありながら、依然としてマケドニア軍における強力な戦力を維持していました。彼らは、パラエタケネやガビエネの二つの会戦で、敵のアンティゴノスの歩兵部隊を圧倒的な力で打ち破り、マケドニアの勝利に貢献しました。

降伏とその後

ガビエネの戦いにおいては、アンティゴノスによって輜重隊が奪われ、銀楯隊の兵士たちの家族や財産が敵の手に渡ってしまいます。その結果、彼らは悲しい決断を下し、エウメネスをアンティゴノスに引き渡し降伏しました。しかし、降伏後、アンティゴノスは銀楯隊の指揮権を持つアンティゲネスを捕え、処刑します。これにより、銀楯隊は指揮系統を崩壊させ、更なる戦闘能力を失うこととなりました。

アンティゴノスは、銀楯隊の兵士たちが反抗的で制御不可能であると認識し、彼らを辺境の守備へ送りました。アラコシア太守シビュルティオスの元で閉じ込められた銀楯隊は、最後まで戦闘から遠ざけられて生涯を送らざるを得なかったのです。

別の銀楯隊

また、セレウコス朝シリアの王も同様に名付けられた部隊を持っていました。彼らは王国の各地から選抜され、マケドニア式の装備を身につけ、アンティオコス3世の親衛隊として機能しました。この部隊は紀元前217年のラフィアの戦い、及び紀元前190年のマグネシアの戦いに参加し、王の側近として戦いました。しかし、紀元前166年のダフネの際には、数が半減し、ローマ式の武装へと変更されたとも伝えられています。

さらに、ローマの皇帝アレクサンデル・セウェルスも、銀楯隊と金楯隊という名の親衛隊を編成しました。これはアレクサンドロス大王の影響を受けた形と言えるでしょう。

結論

銀楯隊の存在は、古代の戦争史の中における重要な要素であり、彼らの戦闘能力とその後の運命は、まさに歴史の中での浮き沈みを象徴しています。

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