錦川鉄道錦川清流線

錦川清流線

錦川清流線は、山口県岩国市の川西駅から錦町駅を結ぶ、錦川鉄道の鉄道路線です。かつて国鉄岩日線として建設された路線を第三セクターに転換したもので、錦川の清流に沿って走る風光明媚な路線として知られています。本稿では、錦川清流線の概要、歴史、運行形態、使用車両、そして未成線区間である岩日北線について解説します。

概要

錦川清流線は、1987年に国鉄岩日線の転換によって開業しました。路線の起点は、JR岩徳線の森ヶ原信号場から分岐する地点で、全線が岩国市内に位置しています。路線名の通り、ほぼ全線にわたって錦川の美しい流れに沿って走ります。かつて岩日線は、山陽本線の岩国駅と山口線の日原駅を結ぶ計画の一部でしたが、国鉄再建法によって未成線となり、開業済みの区間が第三セクター鉄道として運営されることになりました。山口県内では唯一の第三セクター鉄道であり、JR以外の鉄道路線としても唯一の存在です。

路線データ

管轄（事業種別）: 錦川鉄道（第一種鉄道事業者）
路線距離（営業キロ）: 32.7km
軌間: 1067mm
駅数: 13駅（起終点駅と清流みはらし駅含む）
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: なし（全線非電化）
閉塞方式: 自動閉塞式（川西 - 北河内間）、特殊自動閉塞式（北河内 - 錦町間）
最高速度: 80km/h

運行形態

すべての列車が岩徳線に乗り入れ、岩国駅 - 錦町駅間で運行されています。1日の運行本数は10往復で、時間帯によっては3時間以上間隔が空くこともあります。ワンマン運転が実施されており、沿線の住民や観光客の足として利用されています。

車両

開業当初はNT2000形気動車が使用されていましたが、2007年からは新型のNT3000形気動車が導入され、NT2000形は2008年に引退しました。国鉄時代には、旅客列車としてディーゼルカーが使用され、貨物列車では、硫化鉱石輸送のため、蒸気機関車C11形やディーゼル機関車DD13形が活躍しました。

歴史

錦川清流線の前身である岩日線は、改正鉄道敷設法に基づき計画された路線でした。開業当初から乗客数が少ないことが予想され、有人駅は貨物需要があった河山駅のみで、錦町駅も委託駅でした。開業当初は割増運賃が適用されていましたが、国鉄の新線建設に対する補助金制度ができたため廃止されました。

1960年11月1日: 国鉄岩日線として川西 - 河山間が開業。
1963年10月1日: 河山 - 錦町間が延伸開業。
1967年4月: 蒸気機関車の運転終了。
1984年6月22日: 第2次特定地方交通線として廃止承認。
1987年7月25日: JR岩日線が廃止され、錦川鉄道錦川清流線が開業。
2013年3月16日: 御庄駅を清流新岩国駅に改称。
2019年3月19日: 南桑駅 - 根笠駅間に清流みはらし駅が開業。イベント臨時列車のみ停車。

2018年には、平成30年7月豪雨によって全線が不通となりましたが、その後復旧し、全線で運転を再開しています。

駅一覧

全駅が山口県岩国市に所在しています。

駅名	営業キロ	備考
:---	:-	:-----
川西	0.0	◇
清流新岩国	2.3	｜
御庄	（2013年まで）
南河内	5.0	｜
北河内	8.3	◇
椋野	11.8	｜
南桑	15.7	｜
清流みはらし	17.8	(臨)
根笠	18.5	｜
河山	24.6	◇
柳瀬	29.3	｜
錦町	32.7	｜
行波
守内かさ神

岩日北線

岩日北線は、岩日線の未成区間で、錦町駅から島根県の日原駅までを結ぶ予定でした。1967年から建設が開始されましたが、岩日線が特定地方交通線に指定されたことにより、建設が凍結されました。錦町 - 六日市間では路盤が完成しており、その一部は「岩日北線記念公園」として整備され、タイヤ付き遊覧車「とことこトレイン」が運行されています。また、第3須川トンネルは防災科学技術研究所の地震観測施設として利用され、六日市駅付近は道の駅として活用されています。

設置予定駅

接続路線の事業者名・所在地は建設中止時のものです。

周防深川
高根口
六日市

脚注

注釈

出典

参考文献

藤井浩三「中国地方ローカル線建設の歩みと蒸機」『蒸気機関車』NO.40、キネマ旬報社

関連項目

日本の鉄道路線一覧

外部リンク

* 錦川鉄道

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