鍋島忠茂

鍋島忠茂：肥前鹿島藩初代藩主の生涯

鍋島忠茂は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将であり、肥前鹿島藩の初代藩主です。天正12年（1584年）11月28日、佐賀城にて、肥前国の大名・鍋島直茂の次男として誕生しました。兄には佐賀藩の初代藩主となる鍋島勝茂がいます。

生い立ちと武将としての活躍

忠茂の生母については、『寛政重修諸家譜』では石井常延の娘・陽泰院とされていますが、他の系図では井手口小左衛門の妹とする説もあります。しかし、忠茂が創建した泰智寺は、両親のために建てられたものであり、寺号が父・直茂の法名「日峯宗智」と母・陽泰院の法名に由来することから、陽泰院が生母である可能性が高いと考えられています。

幼少の頃から、忠茂は父や兄とともに豊臣秀吉に仕え、武将としての道を歩み始めます。文禄4年（1595年）の文禄の役では、父や兄と共に朝鮮に渡海し、朝鮮軍と戦いました。慶長2年（1597年）の慶長の役にも参戦し、武功を重ねました。

関ヶ原の戦いと徳川家康への仕官

慶長5年（1600年）9月、関ヶ原の戦いが勃発すると、兄の勝茂は西軍に与したため、戦後に徳川家康から処罰されそうになりました。しかし、忠茂は父の命を受け、西軍に与した立花宗茂を攻めることで鍋島家の存続に尽力しました。

戦後、忠茂は家康に人質として江戸に赴きました。慶長7年（1602年）からは、家康の三男・秀忠の近習として仕え、秀忠の寵愛を受けました。その際、秀忠から「忠」の偏諱を授けられ、忠茂と改名します。また、下総矢作に5000石を与えられ、従五位下・和泉守に叙任されました。

鹿島藩立藩と晩年

慶長13年（1608年）に忠茂は中風を患い、帰国を許されて蓮池で療養生活を送ります。しかし、父や兄からは幕府とのパイプ役として重んじられ、慶長14年（1609年）に2万石を分知され、下総の5000石と合わせて2万5000石の大名となりました。これにより、常広城を修築して居城とし、鹿島藩を立藩しました。しかし、病のため藩政を執ることはほとんどなかったといわれています。

慶長19年（1614年）の大坂冬の陣では、忠茂は病身を押して参戦し、秀忠からその功績を激賞されました。その後は矢作で療養に専念しましたが、病状は回復せず、寛永元年（1624年）8月4日に矢作で亡くなりました。享年41歳。

忠茂の跡は、長男の正茂が継ぎました。

系譜

父：鍋島直茂
母：陽泰院（石井常延の娘）、または井手口小左衛門の妹
正室：秋山砂智（江上家種の娘）
継室：隆子、仏晃院（関部兵部の娘）
子
長男：鍋島正茂（生母：仏晃院）
佐野茂久
鍋島茂貞
* 鍋島茂綱室


鍋島忠茂は、武将として戦場を駆け抜け、大名として藩を創設しましたが、病に倒れ、その短い生涯を終えました。しかし、その功績は後世に語り継がれています。

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