鍋島茂綱

鍋島茂綱

鍋島茂綱（なべしま しげつな）は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将です。龍造寺氏、そして鍋島氏の家臣として仕え、佐賀藩の自治領である武雄領の第21代領主を務めました。文献では鍋島若狭の名で広く知られています。彼は後藤家信の子として生まれ、鍋島姓を賜る以前は、後藤、龍造寺、武雄と名を変えています。

生涯

1582年、20代武雄領主・後藤家信の息子として誕生しました。1598年、父・家信が朝鮮出兵中に病で帰国したため、その代理として朝鮮へ出兵します。しかし、豊臣秀吉の死去に伴い、同年12月に帰国しました。

1599年6月、後藤山城（塚崎城）を修築し、住吉城から居を移しました。1600年、龍造寺家当主である龍造寺政家から龍造寺姓を賜ります。同年9月の関ヶ原の戦いでは、病気を理由に参陣せず、代わりに家臣の日高左京進信助を派遣しました。この時、西軍に味方するため270名の兵を関ヶ原に送りましたが、到着時には既に東軍が勝利した後でした。ところが、その軍勢が帰陣の際に徳川家康の目に留まり、家康は茂綱の代理として来た日高を労い、栗毛の馬を与えたという逸話があります。これは、西軍に属するはずだった茂綱の軍勢が、遅れて到着したことで東軍と誤解され、褒美を賜るという「怪我の功名」となりました。結局、日高は平戸に退去せざるを得なくなりました。

同年10月、西軍に与していた鍋島直茂が徳川家康への帰順を示すために東軍に寝返り、柳川城主・立花宗茂を討伐しました。この戦いで茂綱は先鋒として参戦し、360の首を挙げたと言われています。

1610年、徳川幕府による公儀普請、特に名古屋城の普請が佐賀藩鍋島家を圧迫したため、全家臣団に対し三割の上地が命じられました。これにより、武雄領の物成高は17,298石から12,108石に減少しました。1614年、茂綱は大坂冬の陣に参戦。翌1615年の大坂夏の陣にも出陣しましたが、播磨国室津で大坂城落城の知らせを聞き、戦には間に合いませんでした。また同年、一国一城令により、塚崎城とその前に居住していた住吉城の塁壁を破却。これ以降、塚崎城は武雄鍋島氏の居館となりました。

1621年、佐賀藩の財政状況が悪化したため、龍造寺四家（諫早、武雄、多久、須古）のみから追加的に三割の上地が行われました。その結果、武雄領の物成高は12,108石から8,629石にまで減少。慶長の三割上地と合わせ、武雄領の物成高は半減しました。1628年、大坂城築城の公儀普請の普請奉行を命ぜられ大坂へ赴きました。この頃、佐賀藩主鍋島勝茂から鍋島の姓を賜り、親類としての地位を確立したと考えられています。

1637年、嫡子・茂和と共に島原の乱に出陣しました。翌年2月21日の夜襲では、多くの敵を斬り、鍋島勝茂より褒美を賜ったと言われています。1646年、請役であった多久茂辰（安順の養子）が返済不能な私借銀を作ったとして罷免され、その後任に茂綱が任じられました。この結果、請役の地位が多久家から同じ龍造寺一門である武雄鍋島家へ移り、藩政における龍造寺執政体制が確立しました。

1655年、鍋島茂綱は生涯を終えました。


このように、鍋島茂綱は戦国時代から江戸時代初期にかけての激動の時代を生き抜き、武将として、また領主としてその名を歴史に刻みました。

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