鍋島直愈 (白石鍋島家)

鍋島直愈について

鍋島直愈（なべしま なおます）は、江戸時代中期の肥前国佐賀藩士であり、白石鍋島家の第3代当主です。彼の人生は、藩政の変遷と地方の歴史に深く影響を与えた重要な時代の出来事に彩られています。

生い立ちと家督相続

延宝4年（1651年）5月29日、佐賀藩白石邑主の鍋島直堯の子として誕生した直愈は、享保2年（1717年）に父が隠居した際に家督を相続しました。これにより彼は、家を継ぎ、さらに藩の政務に携わることになります。

藩政の混乱と改革

享保15年（1730年）、鍋島宗茂が新しい藩主に就任すると、藩の政務において混乱が生じました。直愈の弟である諫早茂晴はこれまでの請役の立場から排除され、代わって側役の有田八右衛門が政権を握ることとなります。ところが、この有田の政権は直愈親子および茂晴によって反発を受け、享保17年（1732年）に茂晴は不始末を理由に蟄居を命じられました。

享保の大飢饉が発生し、藩内で8万人もの餓死者が出る事態が発生する中、有田八右衛門に対する批判が高まりました。享保18年（1733年）には、茂晴からの連絡を受け、親族たちが直堯の屋敷に集まり、有田の罷免を決定するに至ります。宗茂はこの決定に対して叱責をしましたが、最終的には請役による藩政に戻ることを容認せざるを得ませんでした。

隠居と遺言

元文3年（1738年）9月、直愈は家督を直右に譲り隠居し、徹龍という号を名乗ります。隠居に際して、直右には国家の忠義や藩の未来に関する重要な五箇条の書付を遺しました。これは、家の繁栄を願う彼自身の思いが込められています。

諫早一揆の仲裁

寛延2年（1750年）12月、直愈は甥の諫早茂行が藩主の廃立に関与したとして、知行高を没収される事態に直面します。この事態は「諫早一揆」と呼ばれ、多くの家臣や領民が反発します。新たに家督を継いだ諫早行孝も家中を制御できず、直愈は仲裁に乗り出すことになります。

直愈は、藩に対して上知は3年間とし、その後は返還されるとの提案を出しました。この提案は一定の支持を得たものの、下級家臣や領民の間には受け入れられませんでした。騒動が大きくなり、ついには行孝が一揆鎮圧の命を受ける事態となり、藩も強硬策に出ます。これにより多くの者が処罰され、一揆の指導者が捕えられるなど、騒動は終息を迎えました。

最期

宝暦5年（1755年）9月21日、鍋島直愈は80歳でこの世を去りました。その長い人生を通じて、藩政改革や藩内の安定に多大な貢献をした彼の足跡は、今もなお地域の歴史に刻まれています。彼の取り組みは、今の佐賀藩の基盤を成し、後の世にまで影響を与えました。

もう一度検索