諫早茂晴

諫早茂晴（いさはや しげはる）

諫早茂晴は、江戸時代中期に肥前国佐賀藩で活躍した武士であり、諫早鍋島家の7代目当主です。彼の家系は、佐賀藩の旧主君である龍造寺氏に遡り、藩内でも特別な地位を占めていました。

出自と家系

茂晴の養父である諫早茂元は、龍造寺隆信の又従兄弟にあたる家晴の玄孫です。龍造寺氏は、かつて佐賀藩を治めていた名門であり、その血筋を引く諫早家は、藩内で大名に匹敵する2万6千石の知行と、強い影響力を保持していました。家紋は「上り藤」を使用し、代々藩主から「茂」の字を賜るという慣習がありました。

茂晴の実家は、佐賀藩主の親類筆頭である白石鍋島家であり、初代藩主鍋島勝茂の八男である鍋島直弘を祖とします。実父は鍋島直堯であり、彼もまた直弘の子です。このように、茂晴は龍造寺氏と鍋島氏、二つの名家の血を引く人物でした。

生涯

1680年、茂晴は白石鍋島直堯の子として生まれました。1694年に養父である諫早茂元が亡くなると、その跡を継ぎ、諫早家の当主となります。1704年には、茂元の娘である於福と結婚しました。

1699年、藩主鍋島綱茂により、龍造寺四家が親類同格と定められましたが、藩政における主導的な役割からは排除されました。しかし、鍋島吉茂が新藩主となると、茂晴を含む龍造寺四家は再び藩政の中枢を担うことになりました。

1730年、鍋島宗茂が藩主となると、側役である有田八右衛門が権力を握り、茂晴を含む請役の権限を制限し始めました。1732年には、茂晴が病犬を城下から追い出したことが、生類憐れみの令に反するとして咎められ、遠慮を命じられます。さらに、藩の杉材を管理する真木三郎左衛門の不正事件の責任を問われ、請役を罷免され、蟄居、そして隠居を命じられました。

しかし、同年発生した享保の大飢饉において、茂晴が自領の領民に食料を分け与え、餓死者を防いだのに対し、有田八右衛門らは有効な対策を打てず、佐賀藩内では多くの餓死者が出てしまいました。この事態を重く見た小城藩主鍋島直英が、江戸に参勤中の宗茂に無断で、有田八右衛門を罷免しました。宗茂もこの措置を追認し、勝手役は廃止され、龍造寺四家が再び藩政を担うことになりました。

1736年、茂晴は56歳でその生涯を終え、菩提寺である天祐寺に葬られました。

家族

父: 鍋島直堯（1651-1740）
母: お糸の方
養父: 諫早茂元（1665-1694）
正室: 於福（諫早茂元娘）
次男: 諫早茂行（1714-1765）
子女: 諫早清延

まとめ

諫早茂晴は、佐賀藩において重要な役割を担った人物でした。龍造寺氏の血筋を受け継ぎ、藩政に関与しつつも、様々な困難に直面しました。特に、享保の大飢饉の際には、領民を救済したことで、その名が知られています。彼の生涯は、藩政の変遷と、それに対する人々の対応を示す貴重な事例として、後世に語り継がれています。

参考文献

佐賀藩圧政の虚構と諫早の実像
小城藩日記データベース

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