後藤家信

後藤家信（ごとう いえのぶ）：激動の時代を生きた武将

後藤家信は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将で、肥前後藤氏の20代当主であり、武雄の領主でした。その生涯は、戦乱の時代を象徴するように、激しい戦いと政治的な変動に満ちていました。

生い立ちと龍造寺氏との関係

永禄6年（1563年）、後藤家信は龍造寺隆信の子として生まれました。天正5年（1577年）、後藤氏の当主・後藤貴明の娘である槌市と結婚し、婿養子として後藤氏を継ぐことになります。この結婚は、当時勢力を拡大していた龍造寺氏と、時に対立もしていた後藤氏との間で、戦略的な意味合いを持っていました。後藤氏はこれにより、龍造寺氏の傘下に入ることとなりました。

龍造寺氏の合戦での活躍

後藤家信は、龍造寺氏の武将として数々の合戦に参加しました。天正7年（1579年）には、龍造寺隆信の筑後国・肥後国攻めに従軍し、三池の古賀城を陥落させるなど、その武勇を示しました。また、肥後衆との戦いでは、800もの首を挙げたと伝えられています。天正8年（1580年）には、龍造寺政家と共に柳川の蒲池鎮漣攻めに参加し、天正9年（1581年）には、肥後攻略において、隈府城主・赤星統家を降伏させるなど、龍造寺氏の勢力拡大に貢献しました。

キリスト教との関わり

ルイス・フロイスの『日本史』によると、後藤家信はイエズス会との関係を深めようと試みたことが記録されています。彼は、領地の寄進と自身の入信を条件にイエズス会との交誼を求めましたが、実父である龍造寺隆信の反対により実現しませんでした。しかし、隆信の死後、再び入信を打診するなど、キリスト教への関心を持ち続けていたことが窺えます。

沖田畷の戦いとその後

天正12年（1584年）、沖田畷の戦いで父・隆信が討ち死にすると、後藤家信も敗走し、武雄の後藤山城を離れて、より堅固な住吉城に移りました。この戦いの後、家信は精神的に不安定になり、一時は牢に入れられて監視される状態であったと伝えられています。

豊臣秀吉の時代と朝鮮出兵

天正15年（1587年）、豊臣秀吉の島津征伐に参陣し、肥後の湯浦まで攻め入りました。天正18年（1590年）には、秀吉から19,703.9石の知行を認められました。その後、文禄元年（1592年）からの文禄の役と、慶長2年（1597年）からの慶長の役では、朝鮮へ出兵しました。文禄の役では加藤清正に従って徳原城を守り、慶長の役では、蔚山籠城中の加藤清正を救出する功績を挙げました。

江戸時代と最期

慶長6年（1601年）、江戸証人制度により、三男・鍋島茂延を江戸に送りました。元和8年（1622年）、後藤家信は波乱に満ちた生涯を終えました。

系譜

父: 龍造寺隆信（1529-1584）
母: 龍造寺家門娘
養父: 後藤貴明（1534-1583）
正室: 槌市 - 後藤貴明娘
長男: 鍋島茂綱（1582-1655）
三男: 鍋島茂延

後藤家信は、戦国時代から江戸時代初期への変革期において、激しい戦乱の中を生き抜いた武将でした。その生涯は、時代の流れに翻弄されながらも、武将としての責務を全うした人物として、今に語り継がれています。

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