鎌倉の戦い

鎌倉の戦い（1333年）

鎌倉の戦いは、鎌倉時代末期の元弘3年（1333年）5月18日から22日にかけて、相模国鎌倉（現在の神奈川県鎌倉市）で繰り広げられました。北条高時率いる鎌倉幕府軍と、新田義貞率いる反幕府軍（新田軍）が激突し、幕府滅亡へと繋がる重要な戦いです。この戦いは、歴史用語として一定ではなく、「元弘三年の動乱」「新田義貞の鎌倉攻め」「鎌倉攻め」「鎌倉防衛戦」など、様々な名称で呼ばれています。

背景

元弘3年5月8日、新田義貞は上野国生品明神で鎌倉幕府打倒の兵を挙げました。幕府は迎撃の兵を送りましたが、小手指原の戦い、久米川の戦い、分倍河原の戦いと連敗。新田軍は勢いを増し、関東各地からの援軍を得て20万の大軍となり、鎌倉へ進撃しました。

戦いの経過

5月18日、新田軍は巨福呂坂、極楽寺坂、化粧坂の三方から鎌倉へ攻撃を開始しました。

巨福呂坂: 堀口貞満、大島守之らが率いる新田軍は、赤橋守時率いる幕府軍と激戦を繰り広げました。赤橋守時は足利尊氏の妻の兄であったため、疑われることを恥じ、死を覚悟して戦いに臨んだとされます。激戦の末、赤橋守時らは洲崎で自刃しました。
極楽寺坂: 大仏貞直が守備する極楽寺坂は、難攻不落でした。新田軍の一部は大舘宗氏に率いられ、稲村ヶ崎から鎌倉への突入を試みましたが、長崎氏らの包囲攻撃を受け、大舘宗氏らは戦死しました。
* 化粧坂: 新田義貞と脇屋義助が率いる主力軍は、金沢貞将が守る化粧坂を攻撃しましたが、突破できませんでした。義貞は脇屋義助にこの方面の指揮を任せ、自身は極楽寺へ転戦します。

稲村ヶ崎の突破

大舘宗氏戦死の報を受けた新田義貞は、10万の援軍を率いて極楽寺坂へ向かいました。5月21日夜、義貞は引き潮に乗じて稲村ヶ崎を突破し、鎌倉市内へ突入しました。

『太平記』には、義貞が海に剣を投じると潮が引いたという伝説的な記述があります。この稲村ヶ崎突破が契機となり、新田軍は一気に鎌倉へなだれ込みました。

最後の市街戦と北条氏の滅亡

鎌倉市内では激しい市街戦が繰り広げられ、稲瀬川から由比ヶ浜にかけて火が放たれました。大仏貞直、金沢貞将など幕府方の有力武将が次々と討ち死にする中、北条高時ら北条一門は菩提寺である東勝寺に集まりました。5月22日、北条高時らは自害し、鎌倉幕府は滅亡しました（東勝寺合戦）。

戦死者の供養

由比ヶ浜では大量の人骨が発見され、激戦の様子を物語っています。九品寺は鎌倉攻めの戦死者を弔うために新田義貞が、宝戒寺は後醍醐天皇が足利尊氏に命じて建立した寺です。鎌倉地方特有の墳墓であるやぐらには、戦死者や北条高時の首塚が伝えられています。

戦いの影響

新田義貞は挙兵からわずか15日で鎌倉幕府を滅亡させました。鎌倉幕府滅亡により、元弘の乱は後醍醐天皇方の勝利として終結し、鎌倉時代は終わりを告げ、建武の新政が始まりました。しかし、北条時行ら一部の北条一族は鎌倉を脱出し、後に中先代の乱を引き起こすことになります。

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