大舘宗氏

大舘宗氏（おおだち むねうじ）

大舘宗氏は、鎌倉時代末期に活躍した武将であり、新田氏の支族に属していました。新田政義を祖父に、大舘家氏を父に持ち、綿打為氏を兄としています。彼には、氏明、幸氏、宗兼、氏兼といった子息たちがいました。

生涯

鎌倉時代末期、宗氏は岩松政経の代官である堯海と、田嶋郷の用水を巡って争論となりました。この争いは幕府に直接裁定を申し出る事態に発展し、宗氏は敗訴しました。

元弘3年/正慶2年（1333年）5月、宗氏は新田義貞を旗頭として、子息や新田一族と共に鎌倉幕府に対して挙兵しました。鎌倉攻めの際、義貞は部隊を3つに分割して進軍しましたが、宗氏は極楽寺切通しから突入する部隊の指揮を任されました。5月18日には稲村ヶ崎の海岸線から鎌倉市街への突入を試み、一時的に北条軍を破りましたが、大仏貞直が態勢を立て直すと、その配下の本間山城左衛門との戦闘で討死しました。

『梅松論』によれば、5月18日の未明に稲村ヶ崎から鎌倉へ進入したものの、諏訪氏や長崎氏らの幕府軍との戦闘となり、宗氏らは稲瀬川付近で戦死し、新田軍は一時退却したとされています。

宗氏の死去日については、『尊卑文脈』は5月18日としていますが、『太平記』では5月19日とされています。享年は46歳でした。

宗氏の討死により、この方面軍の指揮系統が一時的に混乱したため、息子の氏明が軍を率いましたが、宗氏討死の報を受けた義貞が化粧坂方面を弟の脇屋義助に任せ、5月21日に極楽寺方面へ布陣し、以降の指揮を執ることとなりました。その後、義貞は防御の堅い極楽寺切通しの突破を避け、『梅松論』が伝える宗氏と同じルート、すなわち稲村ヶ崎の海岸線から5月21日未明に鎌倉市街へ突入しました。

宗氏ら11名の戦死者は当初、御霊神社の付近に葬られ、十一面観音が祀られました。その後、改葬され、現在の稲村ヶ崎駅付近にある「十一人塚」に葬られています。

大正4年（1915年）には、その功績が認められ、従四位を追贈されました。

参考文献

山本隆志『新田義貞』ミネルヴァ書房〈ミネルヴァ日本評伝選〉、2005年。
峰岸純夫『新田義貞』吉川弘文館〈人物叢書〉、2005年。ISBN 978-4-642-05232-0。
永井晋『金沢貞顕』吉川弘文館〈人物叢書〉、2003年。ISBN 4-642-05228-3。
真下和雄 編『新訂 新田族譜』世良田東照宮社務所、1974年。

外部リンク

* 大舘宗氏とその子孫『建武之中興』建武中興六百年記念会神奈川県支部、1934

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